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競技としてのドリフト車

どうも、岐大自動車部です。
今回はなぜ現代のドリフト車両はハイパワー化が進んでいるのかという点をひも解いていきたいと思います。

D1グランプリのスタート前の様子

D1グランプリのスタート前の様子

そもそもドリフトとは何ぞや?
と言いますと、英語で流れ漂うという言葉(drift)が語源で、WRC(FIA 世界ラリー選手権 World Rally Championship)で、その昔活躍した有名なドライバーの1人であるユハ・カンクネン(Juha Kankkunen)などは、しばしばドリフトと言わずに、「ラリーカーを“サイドウェイ(Side way)”させた場合に…」などと言っていたように、“車台を横向きにして流す走法”がドリフトと言えるでしょう。

競技などでコースを走行させる際、コーナー進入時にそのコーナー曲がり角度以上にリアタイヤーを滑らせて、進入直線に対して横向きに車台を向ける事で、コーナー出口からのストレートに対してより直線距離を長くする意味や、エンジンを高回転に維持させる為に、多用されるテクニックです。
リアタイヤーを空転させながら流すように滑らせる距離を“ドリフト飛距離”などと言うのも、もともとグリップするタイヤーを滑らせ続けることの難しさを表していますね。

リアタイヤーを空転させながら、フロントタイヤーはカウンターを当てて車体を制御する

そのドリフト飛距離やドリフトアングルの美しさを採点方式で争う競技である、D1GPに、アメリカのフォーミュラDの、世界最高峰ドリフトイベントの2大巨頭である各イベントに出てくる車両ですが、ハイパワー化が進んでいます。700psはあたりまえ、1000psも珍しくなく、1300psオーバーの車両も存在します。そんなD1の様子がコチラ( https://youtu.be/4i2_GjFoUQ0 )
果たしてその馬力は必要なのだろうか?と疑問に思うと思います。

なぜここまでのハイパワー化が行われたか、ドリフト車の車作りの歴史から話を始めましょう。

まず初期のドリフト車両ですが、いたって普通のチューニングでした。
パワーは特に上げることなく、ブーストアップ程度。
足回りも特別なセッティングをしているわけでもなく、普通の車高調。
LSD付けて、リアにグリップの薄いタイヤを付けてリアを流していくスタイルですね。

まだこのころはドリフトというジャンルに合わせた製品造りがされておらず、グリップ用のパーツを使っていた時代です。

その後、競技としてジャンルが確立され、ドリフト用の製品というものが出始めます。 画期的なドリフト専用改造ということで、切れ角アップが開発されます。

より深い角度を付けてドリフトするために、より大きくカウンターステアを当てられる、タイヤの切れる量を増やす改造です。
これにより、それ以前では不可能であったより深い角度をつけたドリフトが可能となりました。

原理的にどういった内容かというと、ステアリングラックの移動量を増やす方向での改造です。
簡単にいえば、今までハンドルが片側1.25回転回るところを、その限界を増やし1.75回転回るようにする改造です。

入力量を増やして出力量もそれに合わせて増える図式ですね。

純正の操作性のままハンドルの切れ角だけ増えるので、デメリットは少なく、今でも切れ角アップのファーストステップとして行われています。
コスト的にもかなり安く上がりますしね。

しかしながら、ハンドルの操作量が増えるということは、そのまま人間の動作も増えることになり、ハンドル操作が忙しくなります。
車庫入れで据え切りした状態から反対側へ据え切り。
これを瞬時にやらなければいけないのでとても忙しないです。

さらに、増やせる角度にも限界があり、それ以上を求める人が出てきました。
ここで出てくるのが加工ナックルです。
ナックルとは、ハンドルの回転運動をステアリングラックが横運動へと変換し、それをタイヤを切る方向へと変換する部分ですね。
文章で伝えるのは難しいので、細かい作りは置いといて、検索して画像を見ることをお勧めします。
さてこの加工ナックル、今までの切れ角アップとはなにが違うのでしょうか。

それ以前の切れ角アップは入力を増やし出力される量を多くするという原理でした。
それとは違い、入力である操作量はそのままで、出力される切れる量を増やそうという原理です。

ステアリングラックから繋がるタイロッドの取り付け位置と、ナックルとその支点の距離を縮めて、切れる量を増やす原理です。
これにより、ハンドルの操作量は増やすことなく。タイヤの稼働量が増えるわけです。

効果は絶大で、一気に広がっていきます。
さらに今まででは不可能であった領域まで切れ角を増やすことができ、ドリフトのスタイルも一変させました。

どんどん加工は進んでいくわけですが、ナックルの加工の仕方で車の動きが変わるという領域に踏み入れます。
そこで出てくる言葉がアッカーマンアングル。

基本的にどのような車もハンドルを切った際、左右のタイヤの切れる量というのは差があります。
例えば右にハンドルを切ったとして、右側のタイヤは35度切れるとして、左側のタイヤはそれよりも少ない30度。

これは通常のコーナリング時、内側のタイヤと外側のタイヤの旋回半径が違うので、同じ切れ角だとどちらが引きずる形になりよろしくありません。
これを補正する役割をしています。

しかしながら、ドリフト中というのは通常の旋回半径とは違う円を描くので、これが良さをしたり悪さをしたりします。

図-1:アッカーマンアングル比

図-1:アッカーマンアングル比

まずアッカーマンアングルが通常の場合。
ドリフト中、カウンターを当てた際、アウト側のフロントタイヤに多く荷重がかかるので、アウト側のタイヤが動きとして優先されます。
これに合わせて、イン側のタイヤは横滑りというか、路面に対して引っかかるような動きをします。

これによりドリフト中の車の動きは、イン側のタイヤを軸に車全体が回り込むような動作をします。
進入でドリフトアングルを付けてから、車体自体がイン側へ回りこもうとする動きといえばイメージしやすいでしょうか。

このアッカーマンアングルは、ナックルの形状によって初めから決まっていたので、ナックルを加工しないと変更ができません。
裏を返すと、切れ角アップによりナックル加工をするので、アッカーマンアングルも自由にさわれるようになったわけです。

図-2:加工ナックルにより、アッカーマンアングルによる角度差を増幅させる

図-2:加工ナックルにより、アッカーマンアングルによる角度差を増幅させる

というわけで、頭の良い人たちはアッカーマンアングルを変更させることに手を出し始めます。

アッカーマンアングルによる角度差を増やすと巻き込む動き、イン側へと進む動きが増えていきます。
逆に角度差を減らせば、イン側へ進まずに、横へ横へと走るようになります。

これにより、リアを出してからの飛距離が稼げるようになり、より手前からドリフトアクションを起こすことが可能になりました。

もちろん弊害もあります。
まず、車自身が(矛盾した言葉ですが)、横へまっすぐ走るようになり、コーナーを曲がるという行為がしづらくなります。
左右の角度差があれば、自然と円軌道を描く動きをするのですが、角度差を減らすとそれが薄くなるわけです。

さらに問題なのが、ドリフト時に深い角度を付けた際、カウンターステア量も大きくなり、車体に対してタイヤが真横に向いているような状態になります。
この状態で左右の角度差が多ければ、イン側のタイヤを軸に巻き込む動きをするので、リアは外に逃げ、車体は円軌道を描くライン取りをします。

しかしながら左右差が少ない場合、フロントは横に走り、車体は巻き込む動きをしません。
アクセルを踏んでもフロントタイヤはめいっぱい切れているので、フロントタイヤが抵抗となり、車体が前に進むことができません。

図-3:コーナリング。適度なドリフトアングルを維持しつつドリフトの飛距離を伸ばす。

図-3:コーナリング。適度なドリフトアングルを維持しつつドリフトの飛距離を伸ばす。

また、パワーがいる背景にもう一つ。
今の競技としてのスタイルは、停止状態から審査コーナーに向かってスタートする形式が多く取られます。
迫力ある高得点のドリフトをするために、進入速度がほしい。
となるといかに加速させるかという課題になり、そのためにもパワーが必要となります。

最新のドリフト車両を、ハンドリングの良いドラッグマシンと形容した人もいました。
それぐらいに加速性能というのは重要となってきます。

これにより、ドリフト車両のハイパワー化というものが進んでいったわけです。

車作りもどんどん進化していき、一世代前ではグリップのレース車両のような作りだったのが、今ではまったく互換性がないものになっていきました。

加工ナックル、ハンドル切れ角が増えるのでフロントフェンダーはどんどんワイドに。
前上りの車高は、リアのトラクションを稼ぐため。
ダンパーのセッティングも、リアは縮みやすく伸びない、トラクションを逃がさないセッティングになっています。

また、空力面も重要で、GTウィングがあるとリアを押し戻す方向に作用するとか。

フロントのキャンバーが大きく付いていて、リアはほぼキャンバーゼロに近いのも特徴ですね。
カウンターステアを当てた際に、キャンバーを大きく付いていると、アウト側のタイヤの設置面積が増える方向に作用するためです。

逆にイン側はよりキャンバーが増加し、より設置面積が減る方向へと作用します。
これも巻き込み防止の効果がありますね。

リアのキャンバーが少ないのは、トラクションを稼ぐため。
横方向へのグリップより、縦方向のグリップを稼ぐためです。

車両によってはキャンバーをむしろ逆に付けて、リアが沈んだ際にキャンバーが0になり設置面積を稼ぐセッティングになっています。

ドラッグレースを除いたモータースポーツで、実は一番パワーが出ている車両はドリフト競技ではないでしょうか。
歴史が浅くレギュレーションが緩いこともあり、とても独特で調べて面白い車作りがされています。

そのへんの暴走族みたいな連中がやっている遊びと思わず、高度なモータースポーツとして一度興味を持ってみてはいかがでしょうか。

(岐阜大学・自動車部:執筆)

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