排気ガス問題と環境汚染について(2)
排気ガスは、私たちの住む地球を破壊したり、おかしくしたりするものだとされています。しかし、文明の利器を使いまくっている私たちにとって、自動車は欠かせないものです。少しでも住みよい地球を作りたいところですが、そのためにも、排気ガスが出てくる仕組み、きれいにしようとしている仕組みを知る必要があります。
ここでは、排気ガスの出口であるマフラーと、環境保護について改めて考えてみることにしましょう。
内燃機関なら、必ず排気ガスを発生させる
○排気ガスを吐き出すマフラーとは?
自動車の排気ガスというと、みなさん、真っ先に思いつくのが「マフラー」ではないでしょうか。マフラーは、ほとんどの自動車においてボディの後方に吐き出し口があり、そこから汚れた空気を吐き出すような仕組みになっています。
エンジンは前についていることが多いのに、マフラーは後ろ?と思うかもしれませんが、ケムリが前から噴き出していたら、運転する視界が悪くなったり、窓ガラスが汚れたりして大変ですよね。
それなりに理由があるのですが、マフラーは全部で大きく4つのパーツに分かれています。
△エキゾーストマニホールド(エキマニ)
エンジンに一番近い部分に装着されているもので、エンジンから汚れた空気が最初に通る場所です。「タコアシ」と呼ばれることがありますが、これは、エンジンの気筒数分だけ存在します。たとえば、4気筒エンジンならば4本分の口があり、それが最終的には一本に集約されているのです。自動車レース用のエキマニには、エンジンからの排気口から一本(又は複数本)に集約する際に等長管(長さが等しい管)を使用して、排気ガスの“抜け”を向上させるチューニングを施した高性能タイプもありますが、一般車に使用されるのは長さが違う管を使用している事が殆どですね。
エキマニ(赤丸上段)と、触媒(赤丸下段)
自動車下側から見た、触媒とO2センサー
△触媒(キャニスタ)
エンジンから出ている汚れた排気ガスをここで浄化します。近年、この触媒の性能がアップし、排気ガスをなるべく無害なものに変換してくれているのです。ガソリンエンジンに用いられる三元触媒の場合には、触媒コンバーター装置に、セラミック等の触媒課担体や基板に、プラチナやロジウム、パラジウム等を貴金属粒子にして固定させているタイプが多い。いずれも、O2センサー(オーツーセンサー:酸素濃度センサー)を用いて測定し燃焼をコントロールして、ガソリンと空気を余らせない空燃比を保ちつつ酸化還元を実施して、炭化水素を二酸化炭素に酸化させ残りを水に還元させる等の装置である。
△エキゾーストパイプ
触媒から流れてくる排気を後方へと送るためにつながっているパイプです。普段は見えませんが、私たちが言う「マフラー」まで排気ガスを送るための管が続いています。自動車の前方から後方までつなぐので、かなりの長さになりますが、ほとんどの場合は何本かをつなぎ合わせた作りになっています。
△サイレンサー
いわゆる、「マフラー」というのはこの部分です。この部分で排気ガスを出すときの音を抑えています。ここでは、排気ガスをきれいにする機能はなく、あくまで消音(サイレント)の役割がメインです。
このパーツに穴が開いてしまったり、異常が発生したりすると、異音が発生することが多くなります。
エキゾーストパイプ(コーラ缶は比較の為)
トヨタ車の下部から見た、サイレンサー
○意図的に爆音にしている改造車は環境破壊のもと?
異音…というよりも、完全にその「音を楽しんでいる」人たちの車…それは、マフラー部分を改造し、音が抑えられないような構造にしています。その結果、マフラーから爆音が出るようになってしまうのです。
車検を問題なく通すには、地上最低高やいくつかの条件があります。そのうち、私たちに影響のある「爆音」ですが、103デシベル以下であれば問題ないとされているのです。ちなみに、103デシベルといえば、電車が通っているガード下にいるのと同じ大きさくらいなのだそうですが…結構な音になります。
なお、この爆音マフラーにはメリットとデメリットがあります。
△メリット
・排気ガスの吹き抜けが良くなり、エンジンが高回転でも安定して回すことが可能
・その車が持つ本来の排気による爆音を楽しむことができる(?)
△デメリット
・エンジンの高回転を重視した作りのため、低回転時の加速が悪くなる
・音がうるさいので、近所迷惑になる可能性が高い
どちらかというと、爆音仕様はレース向きだと考えていいのではないでしょうか。レース車だと、ずっとサーキットをエンジン全開で走り回るわけですから、高回転の動作が安定しているというのは意味が分かります。
しかし、私たちが普段利用している、いわゆる「街乗り」では「低回転」による動作が多いです。低回転での動作が鈍いと、それなりの加速を目指すのであれば、街乗りでもエンジンをふかす必要があります。これは、すなわち燃費の悪化や排気ガスの量を増やす原因になり、長い目で見ると環境破壊をしているのと同じになってしまうのです。
また、言うまでもなく、ご近所とのトラブルにつながる可能性もあるので、音がうるさい仕様の改造はお勧めできません。
○排気ガスの排出量を減らすために
現在の人間の生活状況から見て、排気ガスをゼロにできるのは、まだまだ先の話でしょう。しかし、皆さんのちょっとした工夫で、その量を減らすことはできます。環境保護が叫ばれている中、私たちができること…それは、なるべく公共機関を利用して移動すること、そして安全運転を心がけることです。
公共機関のバスは排気ガスを出していますが、10人がバスで移動をすれば、10台分の自動車を動かさなくて済みます。それだけ排気ガスを減らすことにつながるのです。また、安全運転を徹底するためには、時間的にも余裕を持つ必要があります。時間に余裕があれば、急ぐこともなくなり、意味もなくエンジンをふかすこともなくなるでしょう。
そして、「面倒くさい」からといって、徒歩でも問題なく行けるお買い物やお出かけを自動車で移動していませんか?別に、環境のことだけを考える必要はありません。ほんのちょっと…たまには歩いてみようかな?と思うだけでも色々違ってくるのではないでしょうか。
本当に小さなことですが、普段「当たり前のように」やると良いと言われていることは環境保護にもつながり、自分たちの健康を守ることにもつながっているのです。
このコラムは、決して「自動車を運転するな」と言っているのではありませんし、また、常に100パーセント環境のことだけを考えて生活をしろと言っているわけでもありません。改造車を例にとってマフラーの話をしてきましたが、純正の装備でも排気ガスは出ますし、公共機関を利用しても、排気ガスをゼロに抑えることは現時点で不可能です。
私たちが小さな頃から習い、叫ばれてきた環境保護…。これを機会に、私たちの「ちょっとした」行為で、環境が守られるし、破壊されてしまうこともあるということを、改めて認識していただけますと幸いです。
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