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マツダのロータリーエンジンが復活!?レシプロエンジンとの違いは?

2017年、マツダのRX-7が復刻するというニュースが話題となっています。RX-7は、マツダの代名詞ともいえるロータリーエンジンを積んだスポーツカーですが、普通のエンジンとは大きく違う点が一つの人気の理由です。
ここでは、ロータリーエンジンの魅力と私たちが普段使っているエンジンの形式、レシプロエンジンとの違いについて詳しく見ていくことにしましょう。

ロータリーエンジンのローター部

ロータリーエンジンのローター部

○マツダRX-7とは?

RX-7とは、1978年の3月、サバンナクーペの後継者として登場したスポーツカーです。RXのRはロータリーエンジン、Xは未知数という意味が込められています。さらに後継車種のRX-8が2012年で販売終了となったため、しばらくは新車のロータリーエンジン搭載の車両は国産では販売されていませんでした。

FC3S型、貴重なターボモデルだ!

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FD3S型、海外でも人気モデルである

FD3S型、海外でも人気モデルである

外見は丸みを帯びたスポーツカー特有のやや平べったい作りに丸みがあるボディが特徴的で、最大出力はRX-7の最終モデルでなんと280馬力!当時の国産車の規制馬力ギリギリ一杯まで出せる車両だったのですが、その重さは他の同馬力の車両よりも軽く、わずか1300キロ前後に抑えられていました。

今でもその人気は高く、特に三代目のFD3S型、いわゆるFDと呼ばれる「アンフィニ・RX-7」は、いまでも中古市場で高値にて取引がされているほどです。2017年に復活予定とあり、今から根強いファンは、その発表を今かと首を長くして待っていることでしょう。

新型が発表予定の2017年は、マツダにとってロータリーエンジン発表50周年という大きな節目を迎える年です。ファンだけでなく、メーカーにとっても大きなプロジェクトのひとつになるでしょう。

○そもそも、ロータリーエンジンって?

確かに、RX-7は独特のラインを描く魅力的な車両ではあるのですが、ここで注目したいのは、当時国産で唯一販売されていたというロータリーエンジンについてです。普段、私たちが乗る自動車のエンジンは、ほとんどがレシプロエンジンと呼ばれるタイプを使用しています。

どちらも同じ自動車エンジンで、基本的な役割や動力を作り出す考え方は同じなのですが、大きく違うのはエンジンのサイクルを行うパーツです。レシプロエンジンではピストンを使ってエンジンのサイクルを行っていますが、ロータリーエンジンでは、代わりにローターと呼ばれるパーツを使い、動力を作り出します。

なお、ロータリーエンジンという言葉はマツダ独特のもので、一般的にロータリーエンジン(rotary engine)と呼ぶ場合、航空機用のエンジンのことを言います。もともとはバンゲルエンジン(ヴァンゲルエンジン)と呼ばれており、ドイツのフェリクス・ヴァンケルによって開発されたものです。

○ロータリーエンジンはマツダだけが開発していたの?

国産車でいうと、実際にロータリーエンジンを搭載した車両を販売したメーカーはマツダだけです。しかし、世に出なかっただけで、エンジンの開発をしていたメーカーがありました。それが、日産自動車とトヨタ自動車です。

日産自動車は1970年代前半の頃、東京モーターショーにロータリーエンジンを搭載した自動車を出品していました。さらに、二代目のシルビアでは実際にロータリーエンジンを搭載しようとする動きもあったのは事実です。しかし、1973年のオイルショックが大きな転機となり、結局市販されることはありませんでした。

また、トヨタ自動車は技術研究の一環としてロータリーエンジンを開発していますが、これを市販する予定はないのだそうです。

この他、外国産車ではNSU(ロータリーエンジンの元祖と言われる企業)を吸収合併したアウディがロータリーエンジンを搭載した車両を販売しています。

赤矢印部分がエキセントリックシャフト

赤矢印部分がエキセントリックシャフト

○ロータリーエンジンの基本的な構造について

では、ロータリーエンジンの基本的な構造について見ていくことにしましょう。 レシプロエンジンでは、シリンダー内をピストンが上下することにより、4サイクル、つまり「吸気、圧縮、燃焼、排気」の工程を行っています。しかし、ロータリーエンジンはこの動作をシリンダーに該当するローターハウジングと呼ばれる場所で、独特な形をしたローターが回転し、同様の工程を行うのが特徴です。

ローターは正三角形を中心から膨らませたような形をしていて、これが回転することで得られる曲線をペリトロコイド曲線と呼んでいます。蚕(かいこ)の「まゆ」のような形をしていますが、ちょうど両サイドの真ん中あたりはやや凹んだ形状になっているのが特徴です。

ローターハウジングはこのペリトロコイド曲線の形に作られていて、中をローターがグルグル回り、4サイクルを行っています。しかし、正三角形を単純に中心の軸でグルグルと回していると、ただの円しか描きません。そこで、独特の動きをさせるため、ローターの中心にはレシプロエンジンのクランクシャフトにあたる「エキセントリックシャフト」と呼ばれるパーツがあります。

エキセントリックシャフトはローターの中央部分にあり、ローターの中心部分には、エキセントリックシャフトよりも大きな穴が開いています。この穴とエキセントリックシャフトにはそれぞれ歯車のように噛み合うようになっていて、これらがグルグルと回ることで、この独特な軌跡を作り出しているのです。

この二つは、ローターが1回転するとエキセントリックシャフトは3回転動くように調整されていて、これによってタイミングよく4つのサイクルを行います。

SE3P型タイプRS RX-8 2009年製

SE3P型タイプRS RX-8 2009年製

○ロータリーエンジンのメリットについて

ロータリーエンジンがRX-7で長く使われていたのは、レシプロエンジンと比較した際のメリットがあったからでしょう。ここでは、その代表的なメリットについていくつか見ていくことにします。

(1)軽量でコンパクトな設計
レシプロエンジンンには、カムシャフトやバルブといった、多くのアイテムが使用されています。それに対して、比較的構造的にもシンプルなロータリーエンジンは、同じクラスの出力を出すタイプで比較すると、軽量でコンパクト設計になるのが特徴です。

(2)騒音、振動が少ない
ロータリーエンジンは、ローターがグルグル回っていることから、うるさいというイメージがあるかもしれません。しかし、ピストンでガンガンついているレシプロエンジンと比べると比較的その振動、そして音も静かになると言われています。

(3)出力が高くなる
これは考え方が二つあり、ひとつはエンジンの構造上、ローターの回転力は直接出力軸に対して伝わるため、レシプロエンジンのようなパワーロス(トルクの変動)が少ないという考え。もうひとつは、出力軸が1回転するたびにその燃焼回数が2倍の回数となることで、単純に計算上の出力がアップするというものです。

(4)ガソリンの燃焼温度が低い
これには、メリットが二つあります。一つは、オクタン価の影響を受けにくいというものです。オクタン価とは、ノッキングやガソリンが自己着火しにくいかどうかを表す数値になります。燃焼温度が低いということは、自己着火しづらくなり、ノッキングも起こしづらくなる計算になるのです。 逆に言えば、オクタン価の低いガソリン(レギュラーガソリンなど)であっても、多少はその環境に耐えられるということになります。もちろん、ハイオクガソリンを使い、質の高い環境を維持することで、常に最高のパフォーマンスを確保できるでしょう。
もうひとつは、窒素酸化物(NOx)の生成が少なくなるという点です。窒素酸化物は高温燃焼下で発生しやすく、燃焼温度が低いロータリーエンジンでは、発生しにくいというメリットがあります。

これだけを見ると、ロータリーエンジンはレシプロエンジンよりも明らかに優れていそうな気もします。また、窒素酸化物の生成が少ないのであれば、環境面にも配慮がしやすそうです。しかし、RX-7は排出ガスの規制不適合となり、その姿を消すことになってしまいました。 その理由は、デメリットの方で確認していくことにしましょう。

○ロータリーエンジンのデメリットについて

もちろん、ロータリーエンジンはレシプロエンジンと比較すると問題点もありました。どちらのエンジンにも良い点、改善が必要な点があり、それをしっかりと把握する必要があります。

(1)燃費が悪い
ロータリーエンジンは、その構造上、燃焼室の表面積が広くなってしまいます。そのため、熱エネルギーの損失がレシプロエンジンよりも大きくなってしまうのが問題点です。つまり、熱エネルギーを運動エネルギーに換える能力が低くなってしまい、低速時のトルクが特に不足してしまいます。
特に、街乗りではたくさん踏み込んで回転数を上げることは少ないため、燃費はどうしても悪くなってしまうのです。

(2)排気の問題
ロータリーエンジンには排気のバルブがないため、排気ポートは調整されることなく、一気に解放されます。そのため、排気時の騒音は大きくなり、その排気ガスの温度も高くなってしまいがちです。

(3)窒素酸化物は少なくなりますが…
メリットで窒素酸化物(NOx)の排出量は少なくなるという点を挙げましたが、逆に未燃焼燃料の炭化水素(HC)は増えてしまいます。これは、燃焼室が縦長で広い構造をしているため、吸気ポートに近い部分での完全燃焼が難しい構造になっているためです。

(4)エンジンオイルが燃焼するため、使用量が多くなる
ローターハウジング内にも、エンジンオイルが必要な構造になっているロータリーエンジンは、その場で燃焼しやすいこともあり、どうしても消費量が多くなります。そのため、レシプロエンジンよりもエンジンオイルを多く必要とし、メンテナンスに費用が多くかかる可能性が高いです。

SE3P型RX-8 2005年モデル。

SE3P型RX-8 2005年モデル。

このように、メンテナンスの問題、費用の問題、そして環境への配慮の問題があり、特に環境面のクリアが当時は難しかったロータリーエンジン…。
現在では、環境面の問題はクリアされ、RX-8も登場したわけですが、マツダは水素とガソリンの両方が使えるタイプのロータリーエンジンも開発しているとのことです。まだまだこれからの進化に期待です。

レシプロエンジン、ロータリーエンジン、どちらにも良し悪しがあります。決してどちらが優れているというわけではなく、お互いがさまざまな世の中の変動、そしてさらに高性能なエンジンを目指し、開発が進められてきました。

電気自動車の開発が進み、インフラ整備も進みつつあります。これによってモーター駆動の自動車が増える一方、まだまだガソリンやディーゼルの需要も大きいです。これからも、エンジン開発が進められ、ますます素晴らしい製品が世に送り出されることでしょう。

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