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電気で動くものばかりの現代だからこそメカニカルなものを

こんにちは、岐阜大学自動車部です。
2016年6月道路運送車両法の保安基準が改正され、ミラー類がカメラとモニタで代用することが可能となりました。
燃費の観点から見るとサイドミラーがカメラに置き換わることにより、大幅にその投影面積を減らし、且つ気流を乱しにくい形状にできるため燃費が向上する可能性があるかもしれないと注目を集めました。
しかし、その考えは早計で、バックミラー等も含め、新たに最低3つのカメラを付けるとその分、電力消費が多くなる上、ハーネス(配線)分の質量も無視はできず、結果として燃費が向上することはないかもしれないという意見も多くあります。
現在の車は、多くの電装品を積んで動いています。
想像しやすいところで言えば、前後の灯火やルームランプといったライト類、ワイパーやファン等を動かすモータ、各液物のポンプ類が基本でしょうか。
さらに、オーディオ類、キーレス、パワーウインドウ、電動のドアやシート、オートライトのセンサ等の利便性の追求や付加価値をつけて利益をあげるための電装品が増えてきました。

ドアミラー装着カメラ(赤い丸印部分)

ドアミラー装着カメラ(赤い丸印部分)

サイドビューモニターの表示

サイドビューモニターの表示

ここ十年くらいは燃費を向上させるために各社涙ぐましい軽量化や効率化の努力をしていう一方で、こうした電装品の車全体の質量に占める割合は増え、消費する電力量も増大していくばかりです。
大型のSUVでは、ハーネスのみでも、その質量が45kgにもなるといいます。
そこで今回は、原点に立ち返り電気を必要としないメカニカルな部品に注目して、今一度そのすばらしさをお伝えできたらと考えています。
今回ご紹介するのはエンジンの周辺にある補機類と呼ばれるエンジンには欠かすことの出来ない部品達になります。

冒頭、電力消費量が増大しているとお話しましたが、そもそも、発電はオルタネータという部品が担っています。
ピストンの往復運動を回転運動に変える最初の部品であるクランクシャフトがプーリーにかかるベルト動かし、オルタネータが回転させられ発電をします。
オルタネータの発電の原理は中学校のころ理科の実験であった手回し発電機と同じで、回転により永久磁石とコイル若しくは、電磁石とコイルの間で磁束密度が変化することで、電磁誘導が起き発電が行われます。
この回転による発電が補機駆動損失に繋がり、たくさん発電するほど燃費が悪化します。
現在では、バッテリの性能が上がり繰り返しの充放電に強くなったので、一定の充電量があればオルタネータ内のロータを空転させ発電をやめることで補機駆動損失を減らす工夫があります。

しかし、ここでもやはり電流の大きさを監視する電流センサが必要になってきます。
電気を必要とする部品と車は切っても切れない関係なのです。
質量の観点からも、消費電力量の観点からも、現代の車の燃費を向上させるのは一筋縄では行きそうにありません。
さて、導入が長くなりましたが早速メカニカルな補機類をご紹介していきます。
ここでは現在の自動車のエンジンではなく、エンジンそのものを簡単に見るため、そしてメカニカルな部品や機構に特化して見るために、図.1の単気筒の汎用ディーゼルエンジンで4つの補機類をご紹介します。

図. 1 汎用ディーゼルエンジン

図. 1 汎用ディーゼルエンジン

◇ 燃料噴射ポンプ

図. 2 燃料噴射ポンプ

図. 2 燃料噴射ポンプ

図. 3 燃料噴射ポンプ挿入部

図. 3 燃料噴射ポンプ挿入部

図.2は“燃料噴射ポンプ”になります。
まず、通常の車の燃料の経路を大まかに説明しますと、燃料タンク内に燃料フィルタと燃料ポンプが一体となって入っており、そこから燃料が吸われエンジンルームへと運ばれていきます。
そして、燃料噴射ポンプで高圧にされてインジェクタにより燃焼室内に噴射されます。一方で、この汎用エンジンは燃料タンクがエンジン上部についており、それよりも下にあるフィルタに自然と流れていくため燃料ポンプはついていません。
改めて図.2を見てみますとの赤い丸印部の燃料の噴射量を調節する棒が図. 3の矢印のフォーク部の間に入り外から操作できるレバーで、この突起を左右に動かし燃料の噴射量を変え、エンジンの回転数を変更出来ます。

ではなぜ調節棒を左右に動かすだけで燃料の噴射量が調節できるかというと、そこにはプランジャという機構があります。
プランジャバレルと呼ばれるパイプ状の中にプランジャと呼ばれる丸棒が入っており、このプランジャがプランジャバレル内を上下することで燃料を押し出します。
そして、1回当たりの燃料の噴射量を加減するために、プランジャバレルには軸方向に溝が、側面には斜めの切り欠きがあり、加えてプランジャバレルの側面には燃料の吸入口兼逃がし穴があります。
突起が左右に動くことでプランジャが回転し、斜めにつけられた切り欠きの下端と逃がし穴の距離(有効行程)が変わることで、逃げる燃料の量が適切に変えることが出来ます。
この汎用エンジンはフォークにより二段階の燃料噴射量に変えることが出来ますが、実際の車は連続的に変えなければならないのでラックとピニオン(歯切りした平板上の棒と小さなギヤ)が採用されています。

燃料の噴射タイミングそのものはカムシャフトにあるカムと言う機構が担っており、上死点(ピストンがシリンダ内の一番上部にあり、最も容積が小さくなり、且つ最も高温高圧になる瞬間)付近の適切なタイミングで、図.2の矢印をカムが押すことで燃料を高圧状態でインジェクタ(燃料噴射装置)に送り、霧状にシリンダ内に供給します。
(カムについては後述のデコンプの項目で詳しく説明します。)

◇ ガバナ

図. 4 ガバナ(低回転時)

図. 4 ガバナ(低回転時)

図. 5 ガバナ(高回転時)

図. 5 ガバナ(高回転時)

続いて図. 4の赤い丸印部が、“ガバナ”という機構になります。
漢字では調速機と書き、エンジンの回転数を制御して適切な運転をするためのもので古くは動力の単位でも有名なワットが発明したものもあります。
この汎用エンジンに関して言えばガバナのギヤはカムシャフトのギヤと噛み合っており、エンジン(カムシャフト)の回転数が上がると、図.5のように遠心力で左右のウエイトが半径方向に動きウエイトとウエイトの間の突起がせり上がります。
この突起が図.3のフォークに繋がるレバーを押すことで、図.2の燃料噴射ポンプの噴射量の調節棒を動かします。
つまり、回転数が高いと突起が高くせり上がって燃料噴射量を抑え、回転数が低いと突起のせり上がりが小さくなり燃料噴射量を増やしエンジンが止まるのを防ぎます。
センサ等で一切監視しなくてもフィードバックを行い、回転数を適切に制御できるのです。
速度を一定に精度よく保てるこの特徴を生かしてガバナの仕組み自体は時計やオルゴール、エレベータ等にも用いられています。

また、燃料噴射ポンプの項目で述べましたラックとピニオンは、少しの変位量で大きく燃料の量を変えてしまうのでエンジンの出力の変動も大きくなります。
とりわけ、低速回転時は噴射量が少ないため、よりシビアになるので自動車のエンジンでは、アイドリング状態において積極的に燃料噴射量を増やすためのリンク機構が付いています。

◇ トロコイドポンプ

このガバナの下には図.6のトロコイドポンプ(オイルポンプの一種)というものがあります。

図.6 トロコイドポンプ

図.6 トロコイドポンプ

5つの頂点のアウタロータ内にある4つの頂点のインナロータが、ガバナと共にクランクシャフトの動力を利用して回転し、エンジン下部のオイルパンに溜まっているエンジンオイルを汲み上げます。
このトロコイドポンプは現在の車にも多く採用されています。実際の車ではクランクシャフトに直接ついています。
このトロコイドポンプによって汲み上げられたエンジンオイルは、まずクランクシャフトの内側に運ばれ、コネクティングロッドがクランクシャフトに組み付いている部分に供給されます。
クランクシャフトとコネクティングロッドはすべり軸受(メタルベアリング)になっており、ボール(玉)やニードル(ころ)が無く、金属同士が直接触れていているため潤滑が必要不可欠です。

次にエンジンオイルが向かう先はシリンダ側面です。
すべり軸受に供給されたエンジンオイルはコネクティングロッドの接合部の穴からコネクティングロッド内に入り、その中を上昇していきピストンの内側からピストンに組み付けられているピストンリング一つ(オイルリング)から、ピストンとシリンダ側面の間に供給されます。
この時のエンジンオイルの役目は単に潤滑だけではありません。
シリンダとピストンの隙間を埋めるためのピストンリング(コンプレッションリング)もありますが、それだけでは燃焼ガスが逃げない密閉性を確保することはできないため、シリンダとピストンリングの隙間に、さらに油膜を保持し燃焼時の圧力を逃さないようにします。
ほかにも、高温になる燃焼室の温度を下げるため、ピストンからエンジンオイルを介し、シリンダそしてエンジンの外へと熱を逃がす放熱の役割も果たしています。
ちなみに、カムにも潤滑のために供給されます。
このように、トロコイドポンプがエンジンオイルを汲み上げなければエンジンはすぐに壊れてしまうでしょう。
また、エンジンオイル自体は防錆の効果もあり、エンジンが運転していない時も、その役割を果たしています。

◇ デコンプレッション

通常デコンプレッションは、“デコンプ”と略して呼ばれます。
これは先ほどから何度か登場しているカムのすぐ横にあります。
カムは燃料の適切な噴射タイミングを担っているだけでなく、吸排気のタイミングも担っています。
デコンプの説明に先立ち、カムについてここで詳しく述べたいと思います。

図. 7 カムの概略図

図. 7 カムの概略図

今回紹介している汎用エンジンが採用している図. 7のOHV(overhead valve)は現在の自動車では一部のアメリカ車を除き、ほとんど採用されない方式です。
しかし構造がシンプルでコンパクト、整備がしやすい等の理由で、汎用エンジンには最近まで広く採用されてきました。
現在の自動車の多くはDOHC(double overhead camshaft)やSOHC(single overhead camshaft)というカムシャフトがシリンダ上部にある方式を採用しています。

話をカムに戻しますと、図. 7のようにカムは卵の断面のような形をしており、また分かりやすくするためにオレンジ色に着色してある円が回転軸です。
カムが回転し、尖っているところが上に来ると、タペットが上に押され、それに伴い棒状のプッシュロッドも上昇します。
そして、プッシュロッドがシーソーのように動くロッカーアームの一端を上げると、他端が下がりバルブ(吸排気の弁)を押し開けます。
カムの丸い側が上に来るとタペットが下がり、バルブに付いたばねの力も相まってロッカーアームが逆に傾き、バルブが閉じます。

この汎用エンジンもそうですが、現在市販されている車は4ストロークエンジンなので吸気、圧縮、膨張、排気の4行程がありますが、エンジン始動時に大変なのは圧縮過程です。
閉じた系で無理やり空気を圧縮するのは、先の塞がった注射器を押そうとするようなもので、容易ではないのは想像に難くないでしょう。
現在の自動車はスタータモータというフライホイールにある歯車を介して、クランクシャフトを回しエンジンを始動させる部品が付いておりエンジンの始動は容易です。
しかし一部のバイクに採用されているキックスタータや汎用エンジンに多く見られるリコイルスタータは、人力でエンジンをかける必要があります。
その労力を低減するのがデコンプになります。

図.8 デコンプ(エンジン始動時)

図.8 デコンプ(エンジン始動時)

図.9 デコンプ(エンジン運転時)

図.9 デコンプ(エンジン運転時)

図.8をご覧頂くと、カムに比べて“デコンプ”が出っ張っているのが分かると思います。
このわずかな出っ張りが、通常ならバルブが全部閉じているタイミングでも少しバルブを開き、圧を逃がすことでクランクシャフトを回しやすくしています。
エンジンが始動して、定常運転時になると、図.9のように遠心力によってデコンプのウエイトが半径方向に動き、出っ張りが倒れることでしっかりと必要な時にバルブを閉めることになります。

現代の自動車においても、アイドリングストップ車やハイブリッド車では、エンジン再始動時の騒音や振動の軽減のために用いられることがあります。

ここまで、様々なメカニカルな機構や部品、工夫をご紹介してきました。
現在も自動車用エンジンに採用されているもの、電装品に取って代わられたもの、すぐには応用が難しいもの等いろいろあったと思います。
しかし、地球環境に優しい車やエンジンを作るにはハイテクな電装品もいいかもしれませんが、簡単な物理法則を応用したメカニカルな機構もまだまだ捨てたものじゃないと思っていただけたら幸いです。

(執筆:岐阜大学自動車部)

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