レーシングカートの後片付け
初めまして。この度コラムを書かせていただく横浜国立フォーミュラプロジェクトの2018年度プロジェクトリーダーを務めました椎橋祐介と申します。私は幼少期から趣味でレーシングカートというスポーツをやっていました。そこで今回はレーシングカートを始めたばかりの初心者の方向けに、簡単ではありますがレーシングカートの後片付けについてご紹介していきます。
レーシングカートの後片付け
私が現在所有しているレーシングカートはKT100SECというエンジンを搭載したレーシングカートです。
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KT100というエンジンは、ヤマハ製100cc2サイクルのエンジンで、多くのユーザーに親しまれているエンジンです。今回は1日走行した後のレーシングカートの後片付けを実際に行ったので、写真とともに簡単ではありますが解説していきます。
後片付けの流れ
①ガソリンタンクからガソリンを抜く
まず始めにガソリンタンクのガソリンを抜きます。キャブレターにつながっている燃料ホースを抜き、別のタンク(下写真の青丸)に移していきます。その時に私が行っている工夫があります。それはタイヤに入っている空気の圧力を利用する(下写真赤丸)ことです。そうすることで早くガソリンタンクからガソリンを抜くことができ、またガソリンタンクに残ってしまうガソリンの量も減らすことができます。さらにタイヤの空気もついでに抜くこともできるので片付けの時間を短くすることができます。
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抜いたガソリンを私は捨ててしまうことがもったいないので、小さな携行缶に移して次回使うときに利用しています。2ストローク用のエンジンオイルは結構高価なので節約したい方にはお勧めです。
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②キャブレターのガソリンを抜く
キャブレターのガソリンを抜いていきます。この工程を忘れてしまうとキャブレターの中に長時間ガソリンを残存させてしまいます。そうするとキャブレター内のガスケットを痛めてしまい、キャブレター本来の性能を発揮できなくなってしまいます。まずプラグとインテークサイレンサーを外し、キャブレターの吸気部分を手やキャップなどで覆います。そしたらダイレクトエンジンの場合は手でタイヤを進行方向に何回か回転させます。セルモーターがついているエンジンは数秒間セルを回します。そうするとキャブレターの中に残っていたガソリンが出てきます。
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ちなみにですが、私はこの工程でキャブレターの吸気部分を覆うときにキャップを用いています。そうすることで手は汚れないのはもちろんのこと、肌が弱い方はガソリンに触れる機会が少ないのでお勧めです。
③エンジンをカートから降ろす
まず始めにキャブレターからアクセルワイヤーを外してから、キャブレターを外します(後にキャブレターの清掃を行うため、キャブレターの清掃を行わない場合は外さなくてもよいです)。次にバッテリーとコネクタ類を外します。
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最後にマフラーを外せばエンジンを降ろす準備は完了です。
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そしてエンジンマウントボルトを2本外してフレームからエンジンを降ろしてこの作業は完了です。
④カウルなどのパーツを取り外す
フレームの清掃がしやすいようにカートからパーツを外していきます。サイドカウル・リアバンパー・タイヤ・リアハブ・スプロケット・スプロケットハブを外します。ハブを外す時にキーを無くさないように気つけましょう。また、私はタイヤを外す前に下写真のようにタイヤにラップを巻いていきます。レーシングタイヤはよく生ものであると比喩されますが、ラップを巻いたからと言ってどのくらいタイヤのライフに影響があるかは私自身も分かりませんが気を遣う方にはお勧めです。
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下写真くらいばらすとフレームの清掃がしやすいです。
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⑤エンジン本体の清掃
チェーンオイルや、砂ぼこりで汚れたエンジンを清掃していきます。まず始めにクラッチカバーを外していきます。
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![レーシングカートの後片付け](/column/img/column/race_put_away/img_011.jpg)
下写真のようなトレーの上に洗浄したい部品をのせて、余った混合油などの廃油を用いて洗っていきます。この時にスプロケット・スプロケットハブ・チェーン・チェーンガードなども一緒に洗浄していきます。
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洗浄が完了したらサービスマニュアルを参考にしながら元通りに組み付けていきます。クラッチドラムのナットはサービスマニュアル内に規定トルクが示されているのでトルクレンチを用いてしっかり規定トルク内で組付けましょう。このナットが緩んでしまうと走行中にクラッチドラムが外れてしまいクラッチを損傷してしまうかもしれないので気を付けます。
![レーシングカートの後片付け](/column/img/column/race_put_away/img_013.jpg)
⑥フレームの清掃
フレームの清掃を行っていきます。下左写真のようにトレーと刷毛を用いて洗浄していくのですが、この時によくガソリンで洗浄をされる方がいます。ガソリンで清掃してしまうと、洗浄力が強すぎてフレームの塗装を痛めてしまいます。
ここでお勧めなのが灯油です。洗浄力も十分にあり,フレームの塗装を痛めることもなく、清掃後にツヤも残るからです。一通り洗浄が終わり、拭き上げ作業が終わったらフレームの清掃は完了です。
ですが、私は1か月に1度ほどしかカートに乗らないためこのままトランポに乗せてしまうとシャフトが錆だらけになってしまいます。ここで私がシャフトの錆防止に行っている作業があります。それはウエスに塗布したチェーンオイルをシャフトに塗っていくことです。(下右写真)そうすることで1ヶ月くらいであればシャフトに錆がでることを防ぐことができます。カートに乗る頻度が少ない方はぜひやってみてください。
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⑦キャブレターの清掃
キャブレターの清掃を行っていきます。まず始めに下右写真のように分解をしていきます。この時にねじ類が散乱してしまわないようにお皿などを用意して行うことをお勧めします(下右写真赤丸)。
![レーシングカートの後片付け](/column/img/column/race_put_away/img_015.jpg)
次にキャブレター内の清掃を行っていきます。私は下写真のように穴という穴にパーツクリーナーを吹き付けていきキャブレター内を清掃していきます。
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その後拭き上げた後によく乾かします。パーツクリーナーで清掃をしたためキャブレター本体が結露の水によって濡れてしまうからです。よく乾かさないでそのままキャブレターを組んでしまうと、キャブレター内に水分が残ってしまいエンジンを始動させる際に燃料に水分が混じり始動性が悪くなってしまいます。最後にキャブレターを元通りに組み付けてキャブレターの清掃は完了です。
⑧積み込み
最後はトランポに片付け終わったものを積んでいきます。ここは人それぞれいろいろ工夫しているところだと思います。私の場合は最初にボックス類に部品などを整理してまとめます。
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次に整理したボックス類と、カート本体をトランポに積んでいきます。私の場合は下段にボックス類とカートスタンドを積み、上段にカート本体と載せきれなかったボックス類を積む感じにしています。
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以上が私なりのレーシングカートの片付けの方法です。
おまけ(タイヤを裏組する手順)
今回の後片付けの最中にタイヤの裏組も行ったので紹介していきます。タイヤの裏組とはタイヤの内側と外側をひっくり返す作業のことです。どうしてもタイヤは内側の方が早くすり減ってしまいます。そのためタイヤ全体を均等に使おうとすると裏組という作業が必要になってきます。
下写真は裏組する前のタイヤです。内側の方が穴の溝が浅いことがわかると思います。
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まず始めにタイヤのビードを落としていきます。ビート落としはカート専用の製品も売っていますが、私はバイク用のものを使っています。カート専用品は高価であることが多いですが、安価なバイク用のもので十分代用できます。これを用いて4本のビードを落としていきましょう。
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次にホイールからタイヤを外していきます。フロントタイヤは慣れてない方でも手で外していくことができると思います。コツは始めに1ヶ所をしっかり潰しておき、ホイールのくぼみに押し込みます。あとはホイールの真ん中に足をかけて引っ張れば簡単に外れます。
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ホイールからタイヤを外すことができたので、次はタイヤをホイールに組み込んでいきます。まず始めにタイヤとホイールにビードクリームを塗っていきます。そうすることで組み込みやすくなり、ビードも上がりやすくなります。ビードクリームは下写真の矢印部分に塗っていきます。
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リアタイヤは外す時と同様に組む時もフロントタイヤと比較すると難しいです。そこで先ほども出てきたタイヤチェンジャーを使用します。これは組む時にも使えるようになっているアイデア商品です。初心者の方にもレースをやっている方にもお勧めできます。使い方は簡単ではありますが下写真を参考にしてください。
![レーシングカートの後片付け](/column/img/column/race_put_away/img_026.jpg)
最後はエアーを使ってビードを上げていきます。しっかりと両側のビードが上がっているか確認しながらやっていきましょう。
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これでタイヤの裏組作業は完了です。
最後に
今回のコラムで紹介させていただいた片付けの方法はあくまでも私なりのやり方です。間違っている個所も多々あるかとは思いますが、誰かの参考になることを願っています。最後まで拝読していただきまして誠にありがとうございました。
執筆:横浜国立大学フォーミュラプロジェクト(YNFP)
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