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車にダメージを与えるNG行為

こんにちは、静岡大学自動車部です。

自動車は非常に高価なものであり、気に入っている愛車であれば出来るだけ長く乗っていたいですよね。

そこで今回は、多くの人が普段無意識にやりがちな車に少しずつダメージを与えてしまうNG行為をいくつか紹介していきたいと思います。
これらの行為をやめることで、あなたの大切な愛車をいたわり寿命を伸ばすことができるはずです。

エンジンを始動後すぐに全開で走る

エンジン始動直後はまだエンジンオイルが内部に充分行き渡っていないため、オイルの潤滑不足により金属面が擦れやすい状態となっています。
またエンジン内のピストンやシリンダーなどの金属パーツも充分に暖まって熱膨張していないので、設計値よりパーツ間のクリアランス(間隔)が広くなっています。

そのためいきなりアクセルを全開にしてエンジンに負担を掛けると、油膜が切れたりして異常摩耗の原因となるため、このような運転は避けるべきです。

現代の車には電子制御式インジェクターが搭載されており燃料噴射や点火のタイミングが自動で調整されるため、エンジンをかけてすぐに走り出すことができます。

しかしエンジンをかけてから水温計が動き出す、もしくは水温警告灯(低温)が消えるまではエンジンの回転数を低めに抑えながらゆっくりと走るように意識するようにしましょう。

ただし長期間エンジンをかけていなかった場合はエンジン内のオイルがオイルパンに落ちてきっているため、走り出す前に少しでもアイドリングを行った方が良いと言われています。

“水温警告灯(低温)がついている間はアクセルを控えめに”

水温警告灯(低温)がついている間はアクセルを控えめに

車が完全に停止する前に前進or後退をする

駐車する時や切り返しを行うとき、完全に車が停止していないのにリバースギアに入れて後退するとトランスミッションに大きな負担をかけてしまいます(後退からの前進も同様です)。

MT車はそもそもリバースギアに力を逆回転に伝えるためのアイドルギアと呼ばれるギアが搭載されており、クルマが前方向へ進む力が働いている状態では噛み合わないようになっています。

つまりギアの回転数が完全に合っていて、かつクルマが前方向へ進む力が働いていない状態、すなわちクルマが完全に停止した状態でないとリバースギアに入らないようになっているのです。

AT車では少し車が動いていても異音もなく「R」レンジに入ることが多いです。
ただし音がしなくとも確実に負担は生じており、思わぬタイミングでトランスミッションが故障する可能性もあります。

同様に完全停止する前に「P」レンジに入れてしまうと、車が急停止して思わぬ事故やトランスミッションの故障につながります。
前進と後退を切り替える時は焦らずに、一呼吸置いてからシフトレバーを操作するように心掛けましょう。

ハンドルを据え切りする

車を停止させたままハンドルを回して前輪の向きを変える操作のことをいわゆる「据え切り」と言います。

昔のパワーステアリングなしの車ではハンドルが重くそもそも据え切りが困難でしたが、現代のパワーステアリング付きの車ではエンジンがかかってさえすれば軽い力でハンドルを回すことが可能です。

狭い路地を走る時や駐車時にはとても重宝する一方、操舵系やタイヤに負担をかけるため控えた方が良いとされています。

ハンドルを回すとその回転力はステアリングコラム、ステアリングシャフトを通してステアリングラックギアに伝わります。

そしてそこから左右に伸びたタイロッドを移動させることでタイヤの角度を変えています。
この際、車が静止しているとタイヤの接地面に生じる摩擦力がより大きくなるため、それに伴いタイロッドを動かすために大きな力が必要となります。

つまり据え切りをすると通常よりも高い負荷がステアリングシャフトやステアリングラックにかかります。

メーカー側もそれを考慮して各部の剛性や強度・耐久性を設計しているため、据え切りによってステアリング系の部品がすぐに壊れるといったことはありませんが、少しでも各パーツに負担をかけないようにするために据え切りは極力行わないようにした方が良いのは間違いありません。

またフロントタイヤ1本には数百キログラムの荷重がかかっているため、車が静止した状態でハンドルを切ると接地している部分のトレッドゴム(路面と接するタイヤ部分のゴム層)を路面に擦り付けることになり、その部分がダメージを受けてしまいます。

前後に車を動かすスペースが全くない場合は仕方ありませんが、少しでもスペースがある場合は車を前後に動かしながらハンドルを回すようにすることが大切です。

“据え切りは操舵系やタイヤに負担をかける”

据え切りは操舵系やタイヤに負担をかける

タイヤを車止めに勢い良く当てる

多くの駐車場にはコンクリートなどで作られている車止めが設置されていますが、駐車する際にタイヤを勢い良く車止めに当てている光景を目にすることがあります。

車止めには停止するべき位置を超えないようにするという役割がありますが、車止めがあるからといって勢い良く後退または前進することはやめましょう。

勢い余って車止めを乗り越えてしまう可能性がある上に、タイヤやサスペンションにとっても優しいとは言えません。
道路にも様々な凹凸があるので、車止めに多少荒くタイヤを当てたからと言って即パンクしたり変形したりアライメントが狂うということはありませんが、何回も繰り返しているうちに少しずつダメージが溜まっていく可能性はあります。

このため駐車する際は車止めにギリギリ当たらないようにするのが理想と言えます。

“車止めにタイヤを勢い良く当てるのはやめましょう”

車止めにタイヤを勢い良く当てるのはやめましょう

長時間アイドリングを続ける

夏場にエアコンを効かせたいなどの理由で長時間アイドリングをさせる人も多いですが、長時間のアイドリングは環境面だけではなく車にとっても悪影響です。

そもそもエンジンにはある程度早く回転しているときの方がより熱効率が高く強い力を出せるという性質があるため、低回転というのはエンジンの燃焼としては良くありません。

また長い時間エンジンがあまり回らなくなることで、油温も上がらなくなり適切な潤滑が出来なくなる可能性がある上に、スラッジ(エンジン内部のオイルと混ざった燃料やオイルの燃えカスのこと)も出やすくなりオイルもエンジンも汚れやすくなります。スラッジが溜まると最悪、エンジン分解や載せ替えが必要となるケースもあります。

そして車は走ることでラジエータに風を当ててエンジンルームの熱を排出しているため、停車した状態では熱がこもりやすくなりエンジンルーム全体に悪影響を与えることもあります。

“長時間のアイドリングはエンジンルームに悪影響を与える可能性あり”

長時間のアイドリングはエンジンルームに悪影響を与える可能性あり

定期的な洗車を怠る

近年は塗装の質の向上もあって、洗車をしばらく行わなくてもすぐに問題は起きません。
しかし常に太陽光が当たり続ける駐車場に置きっぱなしだと、紫外線の影響などで色アセや塗装自体のヤレや劣化、クリア剥がれなどは起こりやすくなります。

長くきれいに乗りたいなら、定期的に汚れを落として、ワックスやコーティングなどでしっかり保護することが必要不可欠です。

また、洗車の際に車に傷つけてしまうこともよくあるので、洗車の仕方にも気を付けましょう。
車の塗装面には砂利や泥などの汚れが付着しているので、そのままスポンジやタオルで塗装面を擦ってしまうと砂利や泥が原因で細かいスクラッチ傷(洗車キズ)が付着してしまうのです。

そのため、洗車前にしっかりこれらを取り除くことが大切です。
他にも力を入れてゴシゴシと洗ってしまうと塗装面に負担が加わり小傷の原因となるので、力は入れずに洗っていくことで傷の付着を軽減することが可能となります。

洗車用具にも注意が必要です。
洗車スポンジは出来るだけ柔らかいウレタンスポンジが理想です。
水分の拭き上げも硬い繊維で出来ているタオルでは小傷の原因となるため、洗車用の柔らかい素材でできているクロスを使うようにしましょう。

“塗装が劣化してしまい、白っぽくなってしまったルーフ”

塗装が劣化してしまい、白っぽくなってしまったルーフ

急のつく操作全般

これはよく言われることで、とても定番かつ重要なことですね。
急ハンドルはボディへの負担もかかり、ブッシュ類も傷みやすくなります。

またMT車で急発進を繰り返しているとクラッチが傷んでしまいます。そして急ブレーキでもブレーキパッドやブレーキシューの摩耗が早まってしまいます。

モータースポーツの現場でタイムを争っている場合や事故を回避するためには急操作も必要となりますが、公道で普通に走る分には不要な負担をかけるだけで何もメリットはありません。
車にとっても乗員にとっても優しい、なめらかな操作を心掛けましょう。

長期間車に乗らずに放置する

車を長期間動かさずに放置すると、様々なトラブルの元となります。
目で見て分かりやすい問題は、タイヤです。

車を放置するとタイヤの同じ場所に力がかかり続けるため、そこだけ平らになってしまい、いわゆるフラットスポットができます。
その状態で乗るとゴトゴトと振動が発生してとても乗れたものではないため、タイヤ交換が必要となります。

またタイヤは時間経過により少しずつ空気が抜けてしまうので、空気が抜けたことによる変形やひび割れが起こる可能性もあります。

対策としては空気圧を高めにしておくことと、定期的に少しでも動かして一定の場所に力がかからないようにするといったことが挙げられます。

さらにガソリンが劣化してしまうことも重大な問題です。
ガソリンに含まれるアルケンという物質が空気中の酸素に触れて酸化してギ酸や酢酸に変化したり、揮発成分が抜けてしまうことが原因です。

酸には金属を溶かす性質があるため、ガソリンが劣化するとガソリンタンクやエンジンの腐食につながります。
また揮発成分が抜けると粘り気のあるヘドロのような物質が発生するので、その状態でエンジンをかけるとヘドロのような物質が燃料系の汚れや詰まりを引き起こし、最悪エンジンがかからなくなります。

少々の劣化であればエンジンはかかるので、数年して完全に劣化する前に定期的に給油して走り、なるべくタンク内の古いガソリンを使い切ってしまうようにすることが大切です。

まとめ

車も機械である以上消耗品であり劣化は避けられないものですが、乗る人次第でその程度は大きく変わるものです。
つまり普段の車の扱い方が愛車の寿命に直結するため、少しでも長く乗りたいのであれば点検やメンテナンスに加えて、車に余計なダメージを与えないようにすることが重要です。

本コラムが、知らず知らずのうちにやってしまっているNG行為を少しでも減らす手助けとなれば幸いです。

執筆:静岡大学自動車部

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