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地味だけど超重要な冷却装置の5つの事実

みなさん、こんにちは!名古屋大学自動車部です。

今回はちょっと地味ですがかなり重要な役割を担っている、冷却装置について基本的なことをご紹介します。

みなさんは、図-1や図-2の画像のような、メーターやランプの意味をご存知でしょうか?

図-1:水温計(針タイプ)

図-1:水温計(針タイプ)

図-2:水温計(ランプタイプ)

図-2:水温計(ランプタイプ)

図-1の画像は水温計です。冷却水の水温が上がると、下から上に針が動くタイプです。
「C」はCool(クール)、「H」はHot(ホット)の略です。

最近の車は、図-2のようにランプが点灯するタイプが多くなっています。青色のランプはエンジンが冷えている時に点灯し、赤色のランプはエンジンが異常な高温になった時に点灯します。針が振り切れたり赤色の警告灯が点灯したりすると、いわゆるオーバーヒートです。

車の水温状況は必ずドライバーに知らされる情報ではありますが、冷却装置ってエンジン、トランスミッション、ブレーキ、タイヤなどと比べて地味な存在ですよね。しかし、陰ながらエンジンを守っている非常に重要な装置なのです。

事実1:なぜエンジンを冷やさないといけないの?

車は、ガソリン等の燃料を使って動きます。ガソリンはエンジン内部で爆発・燃焼反応を起こし、車を動かすエネルギーを発生します。

燃焼中の、空気とガソリンを混ぜ合わせた混合気体の周辺は非常に高温になり、エンジン内部の温度は800℃程度になります。エンジン内の直接燃焼気体に触れる部品は鉄やアルミなどの金属でできていますが、そこまでの高温には耐えられません。

温度が上がり過ぎると、金属材料の強度低下や、熱歪みによる亀裂の発生、焼き付き、ノッキングなどのトラブルが発生します。トラブルが悪化すると、最悪エンジンを壊してしまいます。

エンジンを正常に動かし続けるためには、冷却装置が必要不可欠であるというわけです。

事実2:様々な冷却方式

エンジンの冷却方式には、
・水冷式
・空冷式
・油冷式
が、あります。

それぞれ、冷却水、空気、エンジンオイルを用いて冷却を行う冷却方式です。
では、それぞれの冷却方式について簡単に紹介していきます。

<水冷式>

現在、最も多く使用されているエンジンの冷却方式は「水冷式」です。水冷式は、冷却水の通る流路を設け、冷却水が各部品の熱を奪うように設計されています。

この冷却方式は、冷却効率が高く、外気温に左右されず温度を安定に保つことが可能です。エンジンには最適な運転温度があり、温度が高すぎるとエンジンを傷める原因になりますし、逆に低すぎても燃焼効率が悪くなってしまいます。そのため、温度を一定に保ちやすい水冷式は理想的な冷却方式と言えます。

一方で、冷却装置や冷却水の流路を設ける必要があり、部品点数の多さや複雑な構造が欠点になります。

<空冷式>

空冷式は、直接空気を当ててエンジンを冷やす冷却方式です。

冷却効率を高めるため、エンジンの表面積を大きくする目的で多数の放熱フィンが設けられているのが特徴です。水冷式と異なり、冷却装置等の冷却システムが不要なため軽量でシンプルな構造にできます。

しかし、外気温に左右されやすく、走行風が当たらないと冷却が上手くいかないなど、冷却能力に劣ります。

現在はエンジンの高性能化に伴って空冷式エンジンは姿を消しつつありますが、製造コストを安く抑えられるため、一部の二輪車用のエンジンなどに採用されています。
図-3はエアコンプレッサーのものです。

図-3:空冷式の放熱フィン

図-3:空冷式の放熱フィン

<油冷式>

油冷式は、高温になりやすいエンジンのヘッド(燃焼室より上の部分)にエンジンオイルを散布して冷却を行う方式です。

エンジンオイルには元々冷却効果がありますが、それをより積極的に利用した冷却方式と言えます。水冷式ほど複雑な冷却機構を持たせる必要が無く、冷却能力も空冷式よりは優れます。かつては空冷式の補助的な役割でオイルによる冷却を行っていたエンジンもあったようです。

しかし、エンジンオイルは冷却水と比べて比熱が低く(温度が上下しやすい)温度を安定に保ちにくい等の問題もあり、やはり姿を消しつつあります。

事実3:水冷式の冷却システム

水冷式の冷却システムには、主に以下のような冷却装置が使用されています。
✓ウォーターポンプ
✓ウォータージャケット
✓ラジエータ
✓ラジエータファン
✓サーモスタット

車には冷却水専用の流路が設けられており、“ウォーターポンプ”が作動することによって強制的に冷却水を循環させる仕組みになっています。

エンジンには“ウォータージャケット”という水路が設けられ、冷却水はそこを通過して熱を奪います。熱を受け取って熱くなった冷却水は、“ラジエータ”で冷却されて再び熱を奪える温度に戻ります。これを繰り返すことで、エンジンを冷却しています。

図-4:ラジエータ

図-4:ラジエータ

図-5:ラジエータの位置

図-5:ラジエータの位置

図-4はラジエータ本体の写真です。ラジエータは図-5の写真の赤四角あたり、車の最前部に取り付けられていて、走行風が通り抜けるようになっています。

エンジンの熱を奪った(吸熱した)冷却水は、走行風の通り抜けるラジエータを通過して熱を放出(放熱)します。これでめでたく、エンジンの熱が車外に放出されました。

しかし、車が止まってしまうとラジエータに走行風が当たりません。そのままの状態では水温がどんどん上昇してしまいますので、ここで“ラジエータファン”の出番です。

ラジエータファンはラジエータのすぐ後ろにあり、必要な場合はファンを回して強制的に風を送り込みます。それにより、強制的に冷却水を冷やします。

図-6:電動のラジエータファン

図-6:電動のラジエータファン

また、エンジンには最適な運転温度があると言いましたが、最適温度に保つのに一役買っているのが“サーモスタッド”です。

始動直後のエンジンは温度が低く、燃焼効率が悪いばかりか金属部品を傷つけやすい状態です。理想的には、できるだけ早く温度を上げて、最適な温度になったら一定に保つのがベストです。

サーモスタッドは、ラジエータ入口または出口の冷却水路を開閉するパーツです。エンジンの温度が低いときは、サーモスタッドは閉じていてラジエータに向かう水路をせき止めます。ある温度に達したらラジエータへの水路を開門し、冷却を開始します。

このサーモスタッドの働きによって、すばやく暖機を行っています。

事実4:冷却水は普通の水と何が違う?

冷却水には、トヨタ車では赤色の、その他のメーカーの自動車には緑色の液体が使われています。

これは、水にLLC(ロングライフクーラント)という液体を混ぜた混合液体です冷却を行うだけならただの水で十分なのですが、なぜLLCを混ぜる必要があるのでしょうか?

それは、水は0℃以下になると凍ってしまうからです。水が凍って氷になると、体積は膨張します。冷却水が凍結して体積が膨張するとラジエータやウォータージャケット等の冷却システムを破損してしまいます。それを防ぐために、LLCを混ぜて凍結を防止しているのです。

LLCの配合率によって異なりますが、冷却水は-15~-40℃程度まで凍らないようになっています。

LLCの主成分は、エチレングリコールという粘り気のあるアルコールの一種です。水に対して30~60%混ぜることで、凝固点(水が凍る温度)を下げることができます。約60%までは、エチレングリコールの割合が増えるほど凝固点は下がっていきます。

同時にエチレングリコールは、沸点(水が沸騰する温度)を上昇させる効果も持っています。仮に冷却水の沸点が120℃だとすると、沸点100℃のただの水と比べて20℃分だけ多くの熱を取り込めます。それだけ多くの熱を奪えれば多くの熱を車外に放出できますので、冷却効率が高まります。

つまり、オーバーヒート防止の効果も併せ持っているのです。
LLCはエチレングリコールに防腐剤などを加えて、冷却水自体の劣化や冷却システムの腐食を防止しています。
その名の通り“ロングライフ”を実現できるのは、この防腐剤等の添加剤のおかげです。

事実5:バカにできない?!冷却系統の日常点検

冷却水は走行時に高温になるため、少しずつ水が蒸発していきます。一般的な使用で、1年で約0.3リットル蒸発します。

冷却水が不足すると、当然のことながら冷却性能が低下しオーバーヒートの原因になります。それを防ぐためには“日常点検”が、とても大切です。

普段ボンネットを開けることが無いという方も、一度はご自身でボンネットを開けてみてはどうでしょうか。正直なところ車好きの僕でも毎回ボンネットを開けるなんてことはしませんが、ふとボンネットを開けて冷却水のリザーブタンクを確認した時に、冷却水がカラになっていたという経験もあります。

サーキットに行く予定がたまたまキャンセルになって数日後の出来事だったのですが、気付かずに走っていたらエンジンを壊していたかもしれません。改めて、日常点検の重要さを感じた瞬間でした。

日常点検で確認すべきところは?

では、ボンネットを開けたらどこを確認していけばいいのか説明していきます。

注目すべきは、
①冷却水の容量
②冷却水の色
③ラジエータキャップ
④ウォーターホース
⑤冷却水の漏れ
の、5点です。

①冷却水の容量の確認
冷却水の容量を確認するためには、リザーブタンクを確認します。リザーブタンクは、ラジエータキャップを目印にすると見つけやすいかもしれません。

図-7のようにラジエータキャップの下側からホースが伸びており、その先に樹脂製のタンクがあるはずです。
赤丸で示したそれがリザーブタンクです。

図-7:リザーブタンク

図-7:リザーブタンク

リザーブタンクには、図-8のようにLOWとFULLの線が表示されています。

図-8:LOWとFULLの線

図-8:LOWとFULLの線

冷却水の水面がその間にあれば正常です。写真はFULLの線を越えていますので、入れすぎですね。水面がLOWを下回っていたら水道水を補充します。

水の沸点は100℃なのに対し、LLCの主成分であるエチレングリコールの沸点は198℃ですので、基本的に蒸発するのは水だけです。

そのため、水道水だけ補充してもLLCの濃度はほとんど変わらないと考えて大丈夫です。
余裕があれば、ラジエータ補充液を入れるとより良いです。

これは、水とLLCが混ざった液体で、そのまま補充することが可能です。

図-9:クーラント補充液

図-9:クーラント補充液

図-9のような補充液はホームセンターやカー用品店で手頃に入手できます。いざという時のために、持っておいても損はありません。原液の場合は、使用環境に応じて水道水を混ぜて使用する必要があります。

図-10のように、ボトルには地域ごとの最低気温や原液の配合率と凍結温度の換算表が記載されていますので、それを参考にしてください。

図-10:配合率と凍結温度の換算表

図-10:配合率と凍結温度の換算表

一般的には原液を全体の30%、寒冷地では50%水道水に混ぜて使用します。
自分の使用する地域の最低気温よりも余裕を持たせて混合させましょう。
使用していれば勝手に混ざるので、原液・水を別々に注入すれば大丈夫です。

リザーブタンクの水面があまりにも低かったり、短期間で水量が大きく減っていたりするようであれば、水漏れの可能性があります。
水漏れ箇所や原因が分からない場合は、プロに見てもらいましょう。

②冷却水の色の確認
冷却水は通常きれいな緑色(トヨタ車は赤色)をしています。

もし、リザーブタンクを覗いたときに冷却水が濁っていたり茶色っぽく変色していたりしたら、すぐに交換しましょう。

通常、冷却水は2年または2万キロ毎に交換しますが、変色している場合は冷却装置の金属部品が腐食してサビが発生している可能性があります。冷却水の交換は自分でもできますが、専用の装置を使わずに全量取り換えるのにはかなりの労力と時間が必要です。

また、廃液は環境負荷物質なので専門業者に処理してもらわなければいけません。信頼できるお店に任せるのが安全で確実です。

③ラジエータキャップ
ラジエータキャップは、ラジエータコアユニットの上側に取り付けられています。

ラジエータキャップにはゴムなどが使用されているので、徐々に劣化していきます。劣化するにつれて機能が十分発揮されなくなり、冷却水が噴き出してしまう可能性もあります。

エンジンが冷めているタイミングを見計らって、ラジエータキャップの裏側を確認してみましょう。

図-11:ラジエータキャップの裏側

図-11:ラジエータキャップの裏側

明らかにゴム部分が破損しているようでしたら、即交換です。ホームセンターやカー用品店に行けば1500円程度で購入できますので、交換してしまいましょう。

くれぐれも、冷却水が熱いときはキャップを開けないでください。高温の冷却水が噴き出してやけどをする恐れがあります。
常に冷却効果を良好に保ちたいのであれば、冷却水と同じタイミングで交換するのが良いでしょう。

図-12:熱い時あけるな!の表記

図-12:熱い時あけるな!の表記

実はこのラジエータキャップ、ただの蓋じゃありません。ラジエータキャップには重要な働きが二つあります。

ひとつは、冷却流路内の圧力を一定に保つ働きです。

ラジエータキャップには、主圧弁と負圧弁という二つの弁が備わっています。圧力が高くなると、主圧弁が作動してリザーブタンクに冷却水を排出し圧力を下げようとします。
逆に圧力が低くなると、負圧弁が作動してリザーブタンク内の冷却水を吸い上げて圧力を上げようとします。
この二つの弁の働きによって圧力を適正に保ちます。

もう一つの重要な働きは、冷却流路内を加圧する働きです。

水は大気圧より高い圧力をかけられると100℃でも沸騰しなくなります。
“冷却水は普通の水と何が違う?”の項目でも触れましたが、沸点が高くなるという現象です。
沸点が上がれば冷却効率が上がりますので、ラジエータキャップは冷却水の性能をより一層引き出すパーツと言えます。

④ウォーターホース
エンジンルームを覗くと、ラジエータやエンジン周辺から黒いホースが伸びているのが見えると思います。

これは、冷却水が通るウォーターホースです。ホースはゴム製ですので、当然のことながら劣化していきます。エンジンが冷めているうちに、ホースを指で押してみてください。もし硬化していたり変形していたりしたら交換を検討してください。

ヒビ割れや穴などから水漏れを起こしている場合は、要交換です。水漏れ箇所が分かっているのであれば、応急措置として防水テープなどでふさいでおくという手もあります。

僕の車はホースの穴から水漏れを起こしていましたが、図-13の赤丸で示したように防水テープを巻いたことで水漏れが無くなりました。

図-13:防水テープで仮補修

図-13:防水テープで仮補修

防水テープを使えば一時的に水漏れは解消しますが、必ず新品に交換しましょう。
放っておいて他の部分から水漏れが起こると、どこが原因なのか判断しづらくなってしまいます。

⑤冷却水の漏れ
冷却水には緑や赤などの色がついていますので、水漏れには気が付きやすいと思います。
エンジンルーム内に飛び散っていたり、駐車場の下に滴ったりしていないか確認しましょう。

もし水漏れを起こしていた場合は、とりあえずリザーブタンクに水を補給して修理工場などに持って行きましょう。冷却系統の故障は致命的ですので、早く確実に直すのが最善策です。もし水漏れの程度が軽く、余裕があるのであれば原因箇所を探ってみましょう。

僕が経験した水漏れ箇所は、スロットルボディに繋がるホース(図-13の写真で示した箇所)とラジエータ本体です。
僕が発見した時は原因箇所が特定できましたので、自分で部品を交換しました。

他にも、水漏れしやすい箇所として、ホースの接続部分やサーモスタッド、ウォーターポンプ等の継ぎ目などが考えられます。
ラジエータキャップから噴き出している可能性もあります。原因箇所が分かった場合は、新品に交換しましょう。分からない場合はプロに任せましょう。

水漏れは原因箇所が分かりにくい症状です。幸運にも水漏れ箇所が判明したらすぐに直して、水漏れの可能性のある箇所を減らしていくことが重要です。

図-14:点検して安心ドライブを!

図-14:点検して安心ドライブを!

点検項目は以上です!
すべて確認して異常が無ければ、安心してドライブを楽しめますね!

冷却はエンジンを守るための非常に重要なシステムですので、たかが日常点検と侮らず、気付いた時に点検しましょう。
継続的に確認すると変化にも気づきやすいので、一回きりではなく定期的に確認する習慣をつけると良いですね。

いかがでしたでしょうか。
今回の記事を読んで少しでも冷却装置の重要性や点検法を理解していただけたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

(執筆:名古屋大学体育会自動車部)

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