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渋滞ってどういう現象なの?―経済学的に分析してみた―

皆さんは交通渋滞を経験されたことはありますか?

普段それほど車を運転されない方であっても一度くらいは経験しているのではないでしょうか?
まして、日常的に運転される方は渋滞に何度も悩まされることも度々ですよね。

下道で数十分経っても全く前に進まない、高速道路上で数時間の渋滞に巻き込まれたとあっては、非常に大きな精神的ストレスを感じることでしょう。
そんな渋滞が、どのようにして起こるのか?何が原因になっているか?
このようなことを皆さんも一度くらいは疑問に思ったこともあるのではないでしょうか?

今回のコラムでは交通渋滞が一体どういった現象であるかを経済学的アプローチから、解説していきます。

なお、コラム内にはどうしたら渋滞を避けることが出来るのかといったような直接的にドライバーの方にとって有益な情報があるわけではありません。
あくまで渋滞という現象について理解して頂くことが本コラムの狙いです。
その点だけご了承ください。

都市部では慢性的に交通混雑が発生している

都市部では慢性的に交通混雑が発生している

渋滞の本質

まず渋滞を分析していく前に“混雑”についての定義を再確認していきます。

混雑現象は自動車の渋滞(交通混雑と同義)のみならず、
例を挙げると、

◎プールで人が多くなりすぎて自由に泳げなくなる
◎電車の座席に座れなくなり次第につり革も持てない状態になる

これらが当てはまります。

このようなことから混雑は、
「ある容量を持つ施設、あるいは限られた空間で一定限度を超える経済活動が行われるとき、その活動が施設から提案されるサービス水準の低下する現象」と定義することが出来ます。

自動車道路とは行政によってサービスが提供されている公共財であり、我々ドライバーはそのサービスを享受して公道で車を走らせています。

ところが道路が許容できる限度を超えた交通量が流入した場合、次第に自動車の走行速度は低下しついには交通混雑を引き起こしてしまうわけです。

つまるところ交通混雑というものは、道路にその道路が許容できる以上の交通量が流入した際に発生する現象であります。

これを需要・供給で考えた際に“需要”サイドに立っているのは道路を利用することで移動をしようとしている各ドライバーです。
一方“供給”サイドにあるのはドライバーに自動車を用いて移動することを可能としている道路です。

それでは、道路を増やしたり、レーンを増設したりすることにより交通の供給量を増やせば、交通需要に対応することができ渋滞が減るのでしょうか?

確かに短期的に見れば、交通容量が増加すれば渋滞は減少するでしょう。
ですが長期的に考えた場合、道路の容量が大きくなったことで今まで自動車を利用していなかった人までが新たに自動車を利用するようになってしまいます。

その結果として、道路の増設の効果は新たな道路利用者の出現という形で相殺されてしますのです。
そればかりでなく、公共交通サービスの利用者は減少し、その経営を圧迫します。多くの交通企業において、運航頻度の減少と運賃の値上げが実行され、それが更なる利用者の減少につながる悪循環に陥ってしまうのです。

公共交通サービスの効率性の低下は、自動車を持てない人々の生活に深刻な影響を及ぼし所得分配上の観点からも問題です。

また先ほど私は交通混雑とは需要と供給の問題と述べましたが、そこに様々な物理的要因が複雑に絡まってきます。

◎ 道路の幅や勾配
◎ 曲線の形状と個々の車両の加減速粗性能
◎ 前後左右を走る車両間の相互作用

その結果として混雑が決定されます。

以上のような物理的要因のみならず、交通混雑は個人が行うあらゆる選択が関係しています。

・交通を行うかどうか?
・どこからどこまで行くか?
・いつ出かけるのか?
・どのような交通手段を利用するか?
・どの経路を通るか?

等々です。
ある道路におけるある時刻の交通状況は、無数の個人による、上記のような多次元の選択行動が集計された結果として実現し、その結果交通混雑の状況は時と場所により大きく変化するのです。

渋滞の本質:まとめ

◎ 交通にも“需要”と“供給”が存在し、需要が供給を上回った際に混雑が発生する。
◎ 交通混雑は様々な物理的要因、個人の意思決定により発生する。
◎ 混雑緩和のために道路を新設すると、それに伴い新たな交通需要を発生させてしまうために長期的には混雑は解消しない。
 

ボトルネック混雑

ボトルネック混雑のモデル

ボトルネック混雑のモデル

本章では、大都市においてよく発生するボトルネック混雑について説明します。

ボトルネック混雑とは、道路上の何らかのボトルネックによって待ち行列が形成される交通混雑です。
このボトルネックの具体的な例としては、

◎ 交通信号
◎ 車線減少
◎ 前方を走行する低速車

等があります。
図では、ボトルネックのある道路構造を表しています。

ここでは左側が都心、右側が郊外と仮定します。
ボトルネックの左側では混雑のない高速走行が可能となっていますが、ボトルネックの右側では職場へと向かう車によって混雑が発生しています。
これは、交通量が道路の処理能力を超えるために起こる現象です。

車で都心に向かう際には、都心から枝分かれしていた多くの車線が少しずつ合流していきますが、都心付近ではせいぜい2~3車線しか道路を確保できないため、大都市中心部に向かう際に渋滞に巻き込まれるケースが多いのです。

ボトルネックにおける交通容量を下回る交通量が流れている場合、混雑は発生せず車はスムーズに流れます。
ですが、交通量がボトルネック容量を超えるとボトルネックを通行する交通量は容量を上回らないので、その超過分が渋滞列を形成します。
また、渋滞列を形成している後ろから絶えず車が流れてくることによってさらに渋滞列は延伸します。
こうしてボトルネックにより混雑は発生するのです。

ボトルネック混雑:まとめ

◎ 混雑はボトルネックの容量を超える交通量が流入した際に発生する

天候や季節要因での渋滞

天候や季節要因での渋滞

愛知県内の道路(国道一号線)における重回帰分析

本章では重回帰分析という手法を用いて渋滞についての分析を行います。

重回帰分析とは、統計データを用いてある特定の事象に対してどのような要因が相関関係を持っているかを調べる分析方法です。
調べたい特定の事象を被説明変数とし、要因に当たる変数を説明変数と言います。
今回の分析では「平成27年度全国道路・街路交通情勢調査」のデータより国道一号線のデータを用いて分析を行ってみました。

なお分析には下記の式を用いました。

Yi=α+∑βiXi+εi

αは定数項、βiはパラメータ、εiは誤差項を表します。
Yiは被説明変数であり混雑時の上下平均旅行速度(km/h)です。
Xiは説明変数です。
説明変数については、

・昼間ピーク時1時間交通量(台)
・車道幅員(m)
・両側歩道設置率(%)
・大型車混入率(%)
・車線数
・信号交差点密度
・信号のない交差点密度
・右折専用レーンダミー
・指定最高速度

これらによって分析を行いました。

重回帰分析 基本統計量

重回帰分析 基本統計量

重回帰分析 推定結果

重回帰分析 推定結果

(注)***…1%の水準で統計的に優位 **…5%の水準で統計的に優位

分析③の結果は上の表の通りです。

係数が正ならば、渋滞時速度とは正の相関関係があり速度を上昇させます。
逆に係数が負ならばそれは渋滞時速度と負の相関があり、渋滞を悪化させる要因であると考えられます。

また係数の値が大きいほど被説明変数への影響は大きくなります。
今回はp値が0.05以下のものに絞って考察を行っていきます。

昼間ピーク時1時間交通量については1台増加するごとに0.005km/h速度が低下する結果となりました。車道幅員は1m増加するごとに2.378km/h速度が低下することが分かりました。
この理由については、車道幅員が広い道路ほど交通量が多く混雑が発生しやすい道路であることが1つの原因です。

大型車混入率については、1%増加するごとに0.388km/h速度が増加することが分かりました。トラックは速度の低下要因だと思っていたのですが、渋滞時速度とは正の相関関係があるということになります。これは直感と反している部分ですので、今後より詳しく調べる必要がありそうです。

車線数については1車線増加するごとに7.203km/h速度が増加することが分かりました。
車線数の本数は交通容量の大きさに直結し、交通流をよりスムーズにすると考えられます。
信号交差点密度については、1箇所/km増加するごとに1.342km/h速度が低下することが分かりました。

信号が多いとその分速度は低下しますが、安全と速度はトレード・オフの関係にあるため信号交差点の数を減らすことは出来ないでしょう。
そのため、変則交差点の改善や信号の点灯時間の調整が必要です。
右折専用レーンダミーについては、右折レーンがあるほど5.190km/h速度が上昇することが分かりました。
右折専用レーンが存在しない道路では、右折待ちの車両により直進車両が直進できないために交通流が妨げられるといった現象がみられます。
右折専用レーンが設置されていない道路においては、これを設置することが大きく交通混雑改善に貢献するでしょう。

愛知県内の道路(国道一号線)における重回帰分析:まとめ

◎ 渋滞時速度と正の相関(混雑を緩和するもの):車線数、右折レーン、大型車混入率
◎ 渋滞時速度と負の相関(混雑を悪化させるもの):ピーク時交通量、車道幅員、信号

終わりに

本コラムでは、渋滞を「自動車交通における混雑現象」であるという側面を再確認したうえでその本質についての説明をしてまいりました。

交通混雑自体は、道路の許容量を超える交通量が流入するというシンプルな原理によって発生します。
ですが、道路の許容量はカーブの角度、車線の減少、勾配、幅員など様々な物理的要因が複雑に絡まり合って決定されます。

その中にボトルネックと呼ばれる渋滞の原因となるポイントも存在し、さらに都市部においてはその都市構造までもが渋滞を引き起こす要因となっています。

また道路を走るクルマはそれぞれ大きさも違えば性能も違います。
その車を運転している各ドライバーの性格も、運転の技量もバラバラであるが故に、ドライバーの意思決定によって交通混雑という結果を引き起こしてしまうのです。

近年は渋滞を減らすために様々な取り組みが行われています。
最近では都市部において「開かずの踏切」と呼ばれる渋滞の原因となっている箇所において架橋化を進めるという取り組みが始まっているようです。

高速道路においては、すでに開通している新東名高速道路、2024年に全線開通が予想される新名神高速道路の建設により交通容量は拡大し、今後は高速道路における混雑は緩和されることでしょう。

今後の交通社会においては自動運転が本格的に実用化されていくことが考えられますので、もしかしたら交通混雑はなくなってしまうかもしれません。
ただ人がクルマを運転している時代においては、ワガママなドライバーは必ずたくさん存在するので、まだ当分渋滞はなくならないと推測します。

交通混雑は物理的・社会的要因が深く関連しているとても複雑な現象です。
本コラムが、交通という社会システムを捉えなおすきっかけになれば嬉しいです。

(執筆:名古屋大学体育会自動車部)

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