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5速改造への挑戦!オートマ車から華麗なる改造でマニュアル車にする方法!

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5速改造への挑戦!オートマ車から華麗なる改造でマニュアル車にする方法!

こんにちは、北大自動車部です。
さて、筆者がこの文章を書いているのは6月です。
実はこの時期は、競技のジムカーナシーズンも真っただ中なのです。
が、しかし… いまだに車両ができていません(泣)。
筆者の先輩からも早く車両完成させろとせっつかれているのです。
しかし、少し時間がかかってしまっているのには、「ある訳」があるのです!

マニュアル5速のシフトレバー

マニュアル5速のシフトレバー

「ある訳」とは…
全日本ジムカーナ選手権に出場するチームなら、最新で戦闘力の高い車両で参戦するでしょう。
しかし大学生が参戦するジムカーナ競技で活躍する主な車種は、少し古めの中古車がほとんどです。
そして、競技するにはマニュアル車(以下、MT車)が必須です。
したがって大学生が購入できるレベルで安く売られているものは、相応に年式が古い車ばかりで、競技使用や所謂走り屋さんによる限界走行でエンジンやトランスミッション(以下、ミッション)にダメージがあります。
さらに、交換の可能なエンジンやミッションであればまだ何とかなりますが、根本であるボディが歪んでいることがほとんどです。
本当はシビックへの思いは強かったのですが、そんな理由により断念したほどです。

MT車がだめなら、オートマチック車(以下、AT車)はどうでしょう?
AT車は重い、任意の出力を得にくいなど様々な要因により競技的性能はMTに劣ります。
しかし!! AT車なら競技歴なし、修復歴なし、機関絶好調の車体が安価に存在します。
その車体のミッションだけMTのものに交換してやれば競技歴なし、修復歴なし、機関絶好調のMT競技車両が作成できるのです。

というわけで、学生に人気であるEP82スターレットの状態がいいAT車両を発掘し、ミッション乗せ換えにより車両制作している次第です。

参考:EP82最終モデル:1995年製

参考:EP82最終モデル:1995年製

≪1≫ .ATとMTの違いは?

5速改造するために、ミッションの乗せ換えと言ってもどこが違うのか?
その違いが、わからなければ右も左もわかりません。
ATとMTで違う部分を確認していきましょう。

①:クラッチ
ATにおいても、MTにおいてもエンジンからの動力をタイヤに伝えるという仕事は必要です。
そのために必要なのが、AT車の場合「トルクコンバータ(以下トルコン)」で、MT車の場合は「クラッチ(MT)」です。
動いていないタイヤにエンジンの動力を伝えるとき、どうしてもギアの回転とタイヤの回転が合わない時間が発生してしまいます。
その回転数の差をうまく吸収するのがこれらの仕事です。
MTにおけるクラッチ本体は、主に「クラッチディスク」「クラッチカバー」の2つの部品で構成されています。
フライホイールがエンジンに接続されており、回転するフライホイールとクラッチディスクが圧着されることにより動力がタイヤに伝わります。
この時、クラッチが瞬時に接続されてしまうとタイヤに急激に大きなトルクがかかります。
するとタイヤが空転してしまうか、もしくはタイヤが回転しないまま接続されたことによりエンジンの回転が維持できなくなってしまいエンスト状態になってしまいます。
これらを防ぐために所謂「半クラッチ」という動作が必要になります。
クラッチディスクを弱くフライホイールに接触させ、クラッチディスクが滑っている状態にすることで緩やかに回転が伝わっていきます。
そうすることで適切に動力が伝わる状態にスムーズに移行することができるのです。

クラッチ本体を操作する部品は主に5つです。
「クラッチペダル」「クラッチマスターシリンダ」「レリーズシリンダ」「レリーズフォーク」「レリーズベアリング」です。
クラッチの動作の流れは、大まかに、ペダルを踏む→油圧がかかる(マスターシリンダ)→クラッチディスクが動く(レリーズシリンダ・フォーク・ベアリング)となっています。
クラッチは油圧で動作しています。
クラッチペダルを踏みこんだ時の踏力を油圧に変換するのがクラッチマスターシリンダです。
これは注射器と同じ原理でシリンダ内に満たされているクラッチフルード(作動油)を押し出すことで油圧を生み出しています。
マスターシリンダからの油圧は、レリーズシリンダに伝わります。
レリーズシリンダはレリーズフォークを押し引きする役割をもっており、油圧がかかるとレリーズフォークと接続されたプッシュロッドが飛び出し、油圧がフリーになると内部のばねの作用でプッシュロッドが元に戻るという構造です。
プッシュロッドにより押されたレリーズフォークはレリーズベアリングを引き上げます。
するとそれにつながったクラッチカバーのダイヤフラムスプリングが引きあがり、クラッチディスクがフライホイールから離れることで「クラッチが切れた」状態になるのです。
以上が、MT車でのクラッチの働きを説明です。

MT車の場合、ドライバーが操作するのは「アクセル」「ブレーキ」「クラッチ」ですね。
しかしAT車を運転するときに操作するのは「アクセル」「ブレーキ」だけです。
ATにクラッチ操作がないのはなぜでしょうか?

UFOのような形のトルコン

UFOのような形のトルコン

ミッションケース内、丸いのがトルコン

ミッションケース内、丸いのがトルコン

それは「トルコン」と特殊な構造の「トランスミッション(変速部)」の働きのおかげです。
トルコンはMTにおけるクラッチと同等の働きをします。
エンジンの動力を「ポンプインペラ」「タービンライナ」という、ちょうど扇風機の羽根のようなもので、「オートマチックフルード/ATF」というオイルを介してミッションに伝えています。
MTではクラッチがつながっている状態では、常にドライブシャフトが回転していなければエンジンの回転を維持できずエンストしてしまいます。
しかしATではMTと違い動力をダイレクトに伝えていない、いわばクラッチが滑っているような状態になっています。
そのことによりドライブシャフトが回転していなくても、エンジンの動力を入力するポンプインペラが回転し続けられるので、クラッチ操作をおこなわずともエンストを起こさないようになっています。
この機構によりシンプルなペダル操作での運転が実現しています。

しかし、この機構によるデメリットもあります。
クラッチが滑っている状態ということは、エンジン動力を完全に伝えきっていないということと同じです。
したがって、加速時の動力ロスが大きくなってしまうことや、燃費の悪化を招いてしまうことがデメリットとして挙げられます。
ジムカーナやダートトライアルでは、低速からの加速力がとても重要になるので上記のデメリットは大きく影響してしまうと言えます。

②:トランスミッション
ATのミッションにおけるギアは特殊です。
MTのように、皆さんが想像する単純なギアのかみ合わせとは異なります。
ATではプラネタリーギア(遊星ギア)と呼ばれる4つの部品「プラネタリーキャリア」「サンギア」「プラネタリーピニオン」「インターナルギア」で、構成されたギアが用いられます。
例えば4速MTであれば、各1速に対して一つのギアが割り振られています。
しかし4速ATだと、2つのプラネタリーギアの組み合わせによる複雑な機構をコンピュータが制御して4段変速を実現しています。
コンピュータは、車速とアクセルの開度から計算して変速しています。
これらの複雑な機構や制御するコンピュータにより、ミッションの重量はMTのものに比べて非常に重くなっています。
実際に車両データーを確認すると、「E-EP82 3ドアGT」で同じ「4E-FE」エンジンを搭載していても、MT車は860kg。
AT車は900kgと、単純にミッション重量だけでは無いですが、40kgも重たくなっています。
競技者としての目線で見るとこの重量差は走りに影響してくるレベルの大きな差だと思います。

ATミッション:配線が多くついている

ATミッション:配線が多くついている

MTミッション

MTミッション

③:ECU及び配線
よく耳にするのはATとMTの違いとして、「ECU(エンジンコントロールユニット)」が違うと聞きます。
しかし、さらに重要な違いがあります。
それが「配線の違い」です。
ATはMTでは手動でやっていたことも、コンピュータが制御しています。
そのため、それにかかわるコンピュータに付属する配線も多くなります。
その結果、EP82 ではECUのカプラーの数が、ATとMTで形状の同じカプラーが2つとATのみ設定されているカプラーが1つ追加されATでは3つ、MTでは2つとなっていました。

MTのECUをATに流用できないのは、カプラーの数から明らかです。
また同じカプラーの形状を持つATのECUをMTに流用することもできない点も、注意しなければなりません。
つまりAT/MT換装した、ATの配線を持つMT車両にMTのECUを流用することも不可能です。
なぜならECU側のカプラー配線が、ATとMTで大きく異なるからです。
もし流用したい場合はすべての配線をつなぎなおす必要があります。
もし5速改造用に、配線の位置を適合するように変換するカプラーあれば便利だと考える筆者です。

今回はミッション乗せ換えの際に、せっかくだから社外のECU(MT用)に変更してパワーアップしよう!と考え購入しました。
しかし、配線の違いによりセルを回しても点火しない、ブレーキを踏むとECUで制御しているであろう純正ブーストメーターが動くなどの不具合が起こってしまいました(泣)。
ぜひとも間違えないようにご注意ください。
この場合、AT/MT換装した、ATの配線を持つMT車両にATのECUを流用することは可能です。

AT用ECUはカプラーが3つ

AT用ECUはカプラーが3つ

MT用ECUはカプラーの口が2つ

MT用ECUはカプラーの口が2つ

ATではPレンジ(パーキング)に入れていないとエンジンがスタートしません。
しかし当然ながらMTにPレンジはありません。
したがって、「シャフトポジションハーネス」をショートさせる必要があります。
また、バックランプについても、Rレンジ(リバース)に入れていないと点灯しませんが、MTのリバースギアを認識する配線と異なりますので配線しなおさなければなりません。

シャフトポジションハーネスをショートさせる

シャフトポジションハーネスをショートさせる

④:その他の細かいパーツ類
ATとMTでは、局所に細かい違いが散見されます。
例えば、ミッションマウントの大きさやドライブシャフトの太さです。
それらに関しても細かい違いとは言え、流用が利かないので準備が必要になります。

≪2≫ ミッション乗せ換えの際の注意点

以上を踏まえて早速ミッション換装!…と行きたいところですがその前に注意しなければならないことがあります。
それは車検証の記載が変更されてしまうことです。
ミッションをATからMTに変更すると、
・ATとMTの両方設定されている車両は「記載変更」として、
・ATのみ設定されている車両は「構造変更」として
陸運局に届け出なければなりません。
その際、車検証の型式欄に「改」がついてしまい、保険の加入などが困難になってしまう場合があります。
そして、構造変更の場合はミッション等の強度計算が必要になります。
ミッション換装は、大きなメリットとともに労力やお金が多くかかってしまうことを留意しておいてください。

≪3≫ 乗せ換え手順

EP82など、ATとMTが設定されている車両においての簡単な手順としては、
①:ミッションオイル抜き取り
②:ドライブシャフト取り外し
③:ATミッション取り外し
④:フライホイール、クラッチ取り付け
⑤:クラッチマスターシリンダ取り付け
⑥:シャフトワイヤー交換
⑦:MTミッション取り付け
⑧:シャフトポジションハーネス加工(ショートさせる)
⑨:ドライブシャフト取り付け
⑩:ミッションオイル注入
となります。
一番大きな作業となるのは、⑤の「クラッチマスターシリンダ」の取り付けです。
クラッチマスターシリンダを取り付けるために、エンジンルームと車内を隔てる鉄板に穴を開けなければなりません。
位置を間違えると取り返しがつきません。
しかしATとMTの両方が設定されている車両では車体自体は同一となっているため、ATの車両にもマスタ―シリンダ用の穴をあけるくぼみが存在するのです!
そこを利用すると位置を間違えることはないでしょう。

クラッチマスターシリンダとくぼみの位置(赤丸)

クラッチマスターシリンダとくぼみの位置(赤丸)

注意点としては、ミッションを降ろす際にエンジンをクレーンで吊らなければなりません。
・エンジン側にフックがついていないこと
・ミッションマウントの形状が違うこと
・ドライブシャフトの形状が違うこと
この3点は、忘れずに対策を用意しましょう。

エンジンフック(赤丸)

エンジンフック(赤丸)

≪まとめ≫

MT換装をする目的の大半は、やはり競技的走行性能の改善だと思われます。
実際に換装前と換装後で走り比べてみると、
・軽量化によるコーナリング性能向上
・軽量化による加速性能の向上
・任意の回転数を取り出しエンジン出力をタイヤに伝えやすい
等々・・・
すべてにおいて換装後のほうが、勝っていました。
ミッション換装はお金や時間がかかります。
最初からMTの競技車両を買ったほうがいい場合も往々にしてあります。
しかし、ATの愛車を手放さずに走りを楽しみたい!
年式は古いが、程度のいい車で走りたい!
という方はぜひご一考ください。

なにより自分自身の手で、5速ミッション換装した愛車でコースを走る。
そんな快感は、他では得られませんから、オススメです!

(執筆:北海道大学自動車部)

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