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迫力ある!あのフェラーリサウンドの秘密とは? シングルプレーンとダブルプレーンの違い

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迫力ある!あのフェラーリサウンドの秘密とは? シングルプレーンとダブルプレーンの違い

フェラーリのV8エンジン音は、レーシングカーのように甲高く澄んだ音が特徴的ですよね。
しかし一方で同じV8エンジンでも、アメ車などのV8はドロドロとした低音が特徴的です。
同じV8なのに、どうして排気音にここまでの差が出るのか?
今回は、その仕組みについてお話しします。

フェラーリと言えば、イタリアンレッド!

フェラーリと言えば、イタリアンレッド!

1.[等間隔爆発と、排気干渉]

結論から言うと、片バンクの燃焼間隔に着目した時に、フェラーリのV8は“等間隔”になっており排気干渉が起きないのです。
排気干渉が起きないので「カァァーンッ!カァーーン!」という、あのストレスの無い甲高い音が発生するのです。

ご存知のように、エンジンはクランクシャフトが2回転(720度)することで
吸気 ⇒ 圧縮 ⇒ 燃焼 ⇒ 排気
の、1サイクルをこなします。

それがV8だと、シリンダー数は8気筒なので、720 ÷ 8 = 90
つまり、各気筒が90度の間隔で燃焼するわけです。

ポイントとなるのは、どの気筒順で燃焼が行われるか、ということです。
ここでは、比較対象としてコルベットのエンジンの点火タイミングを用いて、フェラーリのエンジンとの違いを説明します。

フェラーリとコルベットの気筒番号は、それぞれ次の通りです。

[フェラーリ]
5 1
6 2
7 3
8 4

図1:フェラーリの点火タイミング

図1:フェラーリの点火タイミング

[コルベット]
1 2
3 4
5 6
7 8

図2:コルベットの点火タイミング

図2:コルベットの点火タイミング

それぞれの“点火タイミング”に着目すると、
フェラーリは、
1 → 5 → 3 → 7 → 4 → 8 → 2 → 6
コルベットは、
1 → 8 → 7 → 2 → 6 → 5 → 4 → 3
となります。

図3:青の四角が、排気ガスとなる

図3:青の四角が、排気ガスとなる

フェラーリの“点火タイミング”を見てみると
“左右のバンクが交互に爆発”していることがわかります。

片バンクの点火タイミングに着目すると“180度の等間隔で爆発”していることが読み取れるでしょう。
180度の等間隔爆発ということは“直列4気筒のサイクル”と全く同じになり、排気干渉が発生しません。
8個ある各気筒から出される排気ガス同士が、ぶつかることなく綺麗に抜けているのです。
そのため、「フェラーリサウンド」と呼ばれる綺麗な高音が出るのです。

一方で、コルベットの点火タイミングは全体を俯瞰して見ると、各気筒は90度ずつの等間隔爆発でありますが、“2→6”および“3→1”と片側のバンクが連続して爆発している箇所があります。
図2の⑥-②及び①-③の、排気ガスを示す、青四角が連続しているのが分かるでしょうか。
片バンクの点火タイミングに着目すると、
0 → 180 → 270 → 180 → 90
であり、爆発のタイミングが等間隔ではありません。
特に間隔が短いところでは、排気干渉を起こしてしまいます。
その結果として、アメ車特有の「ドロドロ」と表現される音になるのです。

よく、“アメ車のV8”と“水平対向エンジン”の排気音は似ている、と言われます。
それはどちらも排気干渉を起こしてしまっているからなのです。
厳密に言うと、水平対向エンジンが排気干渉を起こしてしまう原因は、エキマニの取り回し方にあります。
不等間隔爆発によるものではありません。
その証拠に、ボクサーサウンドとして愛好者も多かったスバルのレガシィですが、3代目までのBE/BH系のレガシィは「ドロドロ/ドコドコ」と排気音をうならせていました。
しかし、4代目のBL/BP系のレガシィから、排気が流れるエキマニ部分の長さを同じにする“等長エキマニ”に変わってからは、特徴的であったドコドコ排気音は聞かれなくなりましたからね。

話をまとめましょう。
フェラーリとコルベットのエンジンでは、片バンク毎の点火タイミングが異なっており、 排気干渉の有無でサウンドに差異が発生します。
では、なぜ両車のエンジンの点火タイミングは異なっているのか?
その原因探るにはもう少しエンジンの内部にフォーカスを当ててやる必要があります。

2.[シングルプレーンとダブルプレーン]

エンジンには、ピストンの上下運動を回転運動に変換する“クランクシャフト”というパーツが存在します。
1.で述べた点火タイミングは、このクランクシャフトによって決定されるのです。
(正確には、コンロッドを接続しているクランクピンの配置によって決定されます)

V8のクランクシャフトは、
「シングルプレーン(図4)」と
「ダブルプレーン(別名クロスプレーン)(図5)」
の、2つに大別されます。

図4:シングルプレーンの模式図

図4:シングルプレーンの模式図

シングルプレーンは、クランクピンが同一直線上に配置されており、
エンジンを正面から見た時に、クランクシャフトは縦一文字のようになります。
(つまり、180度間隔で各気筒のクランクピンが配置されています)

そのため点火タイミングが等間隔になり、排気干渉が起きないのです。

排気干渉が起きないことによるメリットは
・ハイパワーや大トルクを出しやすい
・等長エキマニによる恩恵を得ることができる
・偶力振動が発生しない
・大きなカウンターウエイトを必要としないのでレスポンスに優れる
などが挙げられます。
しかし、デメリットとして直列4気筒のエンジンと同様に、2次振動が発生してしまいます。
このような特徴から、現在では主にレーシングカーに採用される事が多く、市販車として販売されているのはフェラーリやマクラーレンなど、ごく一部のメーカーのみとなっています。

他方、ダブルプレーンは各クランクピンが90度位相ずれて配置されており、

図5:ダブルプレーンの模式図

図5:ダブルプレーンの模式図

エンジン正面から見た時のクランクシャフトは十文字の形になります。
(ダブルプレーンが別名「クロスプレーン」と呼ばれる所以ですね)

このため、片バンクの点火タイミングが気筒ごとに90度ずれるので不等間隔爆発になり、排気干渉が発生します。

そんなクロスプレーンは
・排圧の上昇により排気抵抗があるのでパワーやトルクを出すのに不利
・不等間隔爆発なので、等長エキマニの恩恵を得られない
といったデメリットがあります。

しかし、1次振動および2次振動が発生しないので、バランスシャフトが不要で振動特性に優れる、というメリットがあります。

これは出力特性を犠牲にしても、振動特性が優先される高級乗用車にもってこいの特性であるため、世界中で広く普及しています。
今や世界中のほとんどのカーメーカーのV8はクロスプレーン方式です。

その一方で、フォードGT40などレーシングカーに、クロスプレーンが採用された例もあります。
エキマニを工夫してやれば排気干渉による問題を避けられるためです。
(莫大なコストがかかるため、おおよそ市販車では真似できない芸当ですが…)

また、BMWのMシリーズに採用されている、V8ツインターボエンジン(S63B44)もクロスプレーンを採用していますが、エキマニを工夫することで排気干渉を避けています。
このエンジンは従来の吸気管と排気管の取り回しを逆転させ、V字の谷間にタービンを配置することで排気干渉の問題をクリアしました。
非常にユニークな発想です。

V8エンジンのシボレー:インパラ

V8エンジンのシボレー:インパラ

3.[おまけ - V8の歴史]

V8エンジンは、フランス人のレオン・ルヴァヴァッスールによって1901年に発明されました。
今でこそ大排気量のV型エンジンは、お米の国の人の十八番のように思いますが、その産まれは芸術の国フランスだったのです。
産業革命以降、世界の技術はイギリスを中心に回っておりましたが、いつの間にかドイツ人が自動車を発明し、それをすくすくと成長させたのはフランス人でした。

過去にフランスは世界最先端を突っ走っていたのですね。
意外にもアメリカが自動車の世界で躍進するのは、それよりもう少し後になります。

話が脱線しました。 当初、このエンジンは大パワーが必要だった飛行機や船などに用いられており、自動車に搭載されたのは1910年頃でした。
「ド・ディオン・ブートン」という名の、これまたフランスの自動車会社です。
その後、V8は大西洋を渡りお米の国へとたどり着きました。
彼の国で初めてV8を採用したのはキャデラックという自動車会社、1914年のことでした。
お米の国の人はさぞかし喜んだに違いありません。
なにせ、モアパワーをこよなく愛するお国柄ですから。
ところが、キャデラックに載せるには一つ大きな問題がありました。
そう、振動問題です。

世界初のV8は直列4気筒を、2つ合体させて作られたエンジンだったのですが、そうなるとクランクシャフトは直列4気筒と同じ形、つまりシングルプレーンでした。

前節で述べたように、シングルプレーンのエンジンはパワーはありますが、2次振動が酷く乗り心地が大変悪くなる。
高級路線を突き進むキャデラックは困り果てました。
パワーを手に入れてもこれでは高級車と呼べない…

翌1915年、キャデラックは同じアメリカの自動車会社ピアレスと手を組んで振動問題の解決を図りました。
お米の国の人達は賢いので、強大なパワーを得ながらさらに振動問題も解決する一挙両得な手法を考案しました。
それがダブルプレーン方式です。
この方式のV8によって高級車に恥じない自動車を作ることができる、キャデラックがそう思ったのも束の間、クロスプレーンのV8の量産は困難を極めました。
紆余曲折を経てクロスプレーンの90度V8が世に送り出されることになるのは1923年。
クロスプレーンの提案がなされてから実に8年の歳月も流れていたのですね。
その後、キャデラックの後を追うように翌1924年、ピアレスもクロスプレーンの90度V8が搭載された自動車の販売を開始。
両社は仲良く特許を出願し共有しあいましたとさ、めでたしめでたし。

こうして、乗用車の世界ではクロスプレーン型の90度V8が高級車のデファクトスタンダードになっていきます。
(欧州なんかではより振動の少ない直列6気筒エンジンや水平対向エンジンの開発に成功しており、そちらが主流でしたが)

では、シングルプレーン型のV8がなくなったのかというとそうではありません。
振動対策が必要でないレースの世界では、クロスプレーンに不要なパーツを省いて軽量化できたり、エンジンのレスポンスの良さや、パワーやトルクといった出力の出しやすいといった特徴から、積極的に採用されています。

オープンカーの、白いフェラーリ

オープンカーの、白いフェラーリ

V8エンジン搭載の、フォード:トリノGT

V8エンジン搭載の、フォード:トリノGT

4.[おわりに]

ここからは至極個人的な話になります。
数あるV8の中でも筆者が特に気になっているエンジンがあります。
それは、メルセデス・ベンツが元ポルシェのエンジニア、“フリードリッヒ・アイヒラー”に設計させたエンジン『 M156 』です。
6.2Lの大排気量を誇るこのエンジンは、ドイツのアフェルターバッハでたった1人の熟練工の手によって作製されたフルハンドメイドの特別な一品なのです。
クロスプレーンでありながら、レブリミットまで軽々と吹け上がるだけでなく、その回転の様子も非常に滑らかです。
(気になる方は動画を調べてみてください。エンジンの回り方に驚くこと請け合いです)

エコが叫ばれるようになってから、ダウンサイジングターボが台頭するようになり、あのフェラーリですらNAを捨てました。

自然吸気大排気量エンジンの時代は幕を閉じたのかもしれません…。
それではまた。

(執筆:岐阜大学自動車部)

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