「自動車にも及ぶLED化の波」

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「自動車にも及ぶLED化の波」

岐阜大学自動車部です。今回は自動車に使われるLEDについて話を進めたいと思います。
皆さんはLEDと聞くと何を思い浮かべますか?
照明器具、信号機、液晶ディスプレイなど様々なものにLEDは使われています。
自動車も例外ではありません。具体的には車内灯、灯火類、メーター、カーナビゲーションやオーディオのイルミネーションにも使われています。
今となってはLEDが1つも使われていない自動車は製造されていないのではないというほど自動車にもLEDが普及しているのです。

装着率が高くなっているLED灯火類

装着率が高くなっているLED灯火類

* LEDの仕組み
まず、LEDの基本的な構造について説明していきます。
LEDは主にP型半導体とN型半導体で構成されています。

図1.LEDの仕組み

図1.LEDの仕組み

P型半導体は電源の+端子(アノード)側につながっており、半導体の元素より価電子(結合に関わる電子)が1個少ない元素を不純物として混ぜることにより−の電気を持つ電子が足りない状態になっています。
P型半導体には電子を受け取ることができ、+の電気を蓄える穴として正孔(ホール)が存在します。一方、N型半導体は電源の−端子(カソード)側につながっており、半導体の元素より価電子が1個多い元素を不純物として混ぜることにより電子が多い状態になっています。
そこで電流を流すと−極側では−極からN型半導体に電子が供給され、N型半導体の中の電子がP型半導体の方へ移動します。
+極側ではP型半導体から+極側へ電子が移動することにより、相対的に+の電気がP型半導体に蓄えられ、P型半導体の中の正孔がN型半導体の方へ移動します。
そしてP型半導体とN型半導体の境界で正孔と電子が結合する時に発光するのです。

* LEDのメリットとデメリット
皆さんもご存知だと思いますが、LEDを使うメリットは何と言っても省電力ということです。
照明器具にLEDが使用されている一番の理由はこれです。
自動車もLEDを用いて省電力化することによってエネルギーの消費を減らすことが可能です。だから最近自動車に電球に変わってLEDが採用されているのです。
LEDが採用されているのはただ省電力だからだけではありません。
他のLEDのメリットは主に以下のことが挙げられます。

1 指向性(ある方向に強く光を放つ性質)が高い
2 光量が多い
3 特定の色の光を放つ
4 発熱量が比較的少ない
5 小型である
6 応答速度が速い
7 耐久性が高い

1:指向性が高い
指向性が高いということは、LEDが向いている方向に向かう光が多く、横にそれる光が少ないため、効率よく一定の方向を照らすことができるということです。
一定の方向を照らしたい時、例えばヘッドライトや車内灯に用いる時に恩恵が大きいです。

2:光量が多い
光量が多いということは簡単に言えば明るいということです。
明るく照らすことで安全にも貢献します。

3:特定の色の光を放つ
特定の色の光を放つというのはLEDの性質として放つ光の波長の範囲が狭いということに起因します。
例えば赤く光らせたいブレーキランプは電球のように白色光に赤いフィルターをかけるのではなく、最初から赤い光が発せられることでクリアレンズを使用することも可能です。
また、HIDヘッドライトは強い紫外線を放つので、UVカットガラスをバーナー部に使用しないとプラスチック製のレンズがすぐに黄ばんでしまうという問題点がありました。
LEDヘッドライトの場合はそのようなことはありません。

4:発熱量が比較的少ない
発熱量が少ないということは今まで電球の周りの部品が電球の熱で溶けないようにしていたが、LEDを採用することによって発生する熱量が減ったのでそれほど熱対策をしなくてよくなったということです。
また、発光する時に発生する熱は通常は利用されないので、熱に変わる電力の量を減らすことで省電力を実現しているのです。

5:小型である
小型であるということは、灯火類の部品を小型化できるということを表します。
つまり、使用する材料も削減できるのです。
また、小型であることから様々な形に並べて配置することができるので、電球を利用する場合より灯火類のデザインの自由度が向上します。

6:応答速度が速い
応答速度が速いということは、スイッチを入れてから完全に点灯するまでの時間が短いということです。
皆さんも照明器具が電球の場合はスイッチを入れるとジワリと明るくなっていくのを経験したことがあると思います。
特にHIDは応答速度が遅く、10秒くらいは色が変化していき、完全に安定するまでには10分くらいかかると言われています。
また、LEDのウインカーが点滅する時には応答の遅さを感じることはなく、点滅する変化にキレがあることも経験したことがあると思います。
例えば、ブレーキランプにLEDを使用するとブレーキを踏むとブレーキを踏んでいることを後続車にすぐに伝わる上、明るさの変化がはっきりしているので見落としにくいのです。

7:耐久性が高い
耐久性が高いということは、寿命が長いということです。
電球やHIDより長寿命なのです。
また、振動に強いので、電球の場合に多かったドアを閉めた衝撃で球切れを起こすこともあまりなくなったのです。

では、デメリットは何でしょうか?
主に以下のことが挙げられると思います。
1 発熱量が少ない
2 比較的高価である
3 HIDより少し暗い
4 熱に弱い

1:発熱量が少ない
発熱量が少ないとメリットにも挙げましたが、デメリットにもなるのです。
これは主にヘッドライトにLEDを使用した場合、発熱が少ないということは雪の中走行するとヘッドライトに付いた雪が解けないということです。
これはLEDの技術が進めば進むほど大きくなる問題です。
この問題のためにヘッドライトに温めたウォッシャー液を噴射することで雪を溶かすシステムが開発されました。

2:比較的高価である
比較的高価であるのは、LEDは半導体でできているので、絶対的に電球よりコストがかかるのです。
これからの開発に期待したいところですね。

3:HIDより少し暗い
HIDより少し暗いのはまだLEDは開発途上であるからです。
開発が進めばHIDより明るくなることもあり得ることでしょう。

4:熱に弱い
熱に弱いということは、発熱量が少ないながらも放熱する必要があるということです。
市販のLEDヘッドライトキッドのLED部には放熱用のファンが付いていることが多いです。

* 最近まで自動車にあまりLEDが採用されなかった理由
LED自体は1980年代には実用化され始めていました。
しかし、当時は赤色LEDしか作れてなく、表現できる色が限られていました。
実用的なレベルにするには白色を表現するために光の3原色である、赤色、青色、緑色のLEDを開発する必要があったのです。
ようやく白色LEDが開発されたのは1990年代の終わり頃です。
自動車が普及した時期よりかなり遅いのです。
それから15年以上経った現在でも電球やHIDが使われる車は多いのです。
なぜでしょう?

図2.LEDによりデザイン性が向上したテールランプとブレーキランプ(トヨタクラウン)

図2.LEDによりデザイン性が向上したテールランプとブレーキランプ(トヨタクラウン)

LEDの技術が明るさや消費電力の点でまだ未熟だったため、LEDを採用するメリットが少なかったのです。
テールランプやブレーキランプは赤色でヘッドライトほど明るさは必要とされていなかったため、2000年前後に、室内灯は2000年代には採用例がありました。
しかしヘッドライトやスモールランプ、フォグランプに採用するには明るさが必要でした。
LED1つあたりの明るさが足りないので複数使えばいいと思いますが、複数使うことで低消費電力、小型というメリットがなくなってしまいます。
また価格も高くなってしまいます。
それではわざわざLEDを採用するメリットがありません。

技術の改良が進み、2007年にはLEDヘッドライトが量産化されました。
しかしロービームだけでLEDを5個使用し、消費電力は100W/台と従来のハロゲンヘッドライト110W/台、HIDヘッドライト90W/台と比較して決して優れたものではなかったのです。
さらに改良が進み、LED3灯で66W/台、LED2灯で52W/台と進化し、LED1灯で構成されるようになりました。
また、灯数の減少によって価格も低下したのでそれまで高級車とエコカーにしか採用されていなかったLEDヘッドライトが2010年代には軽自動車にも採用されるようになりました。
しかし、これでも多くの純正HIDと同様にロービームとハイビームが別のままなのでヘッドライトユニットの小型化にはあまり効果がないのです。
その点も改良が進み、2014年にはLED1灯でハイビームとロービームの両方を放つヘッドライトユニットが開発されました。

図3.ロービームとハイビームが一体化したLEDヘッドランプのBi-Beam(トヨタクラウン)

図3.ロービームとハイビームが一体化したLEDヘッドランプのBi-Beam(トヨタクラウン)

これによりLEDを発光させるために必要な制御ユニットが1つになったので小型化されただけではなく、消費電力もさらに減りました。
また、その過程でヘッドライトだけではなくほとんどの灯火類でLEDを採用できるようになりました。

* LEDの活用例
LEDのメリットを生かした技術にはプロジェクター式ヘッドライトやアダプティブヘッドライトシステムが挙げられます。

図4.プロジェクター式ヘッドライト(光源はHID)(トヨタクラウン)

図4.プロジェクター式ヘッドライト(光源はHID)(トヨタクラウン)

まず、プロジェクター式ヘッドライトについて説明します。
ほとんどの場合、LEDは光源が小さく、従来のマルチリフレクター式ヘッドライトには向かないのでLEDヘッドライトと同時にプロジェクター式ヘッドライトが採用されています。
プロジェクター式ヘッドライトとはよくプレゼンで使われるあのプロジェクターのようにレンズから光を出すような構造のヘッドライトのことです。
従来はリフレクター(反射板)により反射して前方を放射状に照らしていたヘッドライトがレンズを通すことにより焦点ができ、照らすべき場所を集中的に明るく照らすことができるのです。
また、照らす範囲が狭いことによりアダプティブヘッドライトシステムが可能になるのです。
アダプティブヘッドライトシステムとは状況に応じてヘッドライトをコントロールする技術の総称を言います。
主にオートレベリング、オートマチックハイビーム、さらにオートマチックハイビームが進化したアダプティブハイビームシステムがあります。
オートレベリングとは自動車の積載重量や乗車人数による微妙なヘッドライト(ロービーム)の角度の変化を補正する機能です。
ロービームはすれ違い用のヘッドライトであるのに積載重量や乗車人数で角度が変わり、対向車や先行車に眩しく光っているならば意味がありません。
運転席にヘッドライトの光軸を調整するダイヤルがあるのを見たことがある人もいると思います。
その調整を自動で行うのです。
特に光軸がはっきりしたプロジェクター式ヘッドライトではこの効果は大きいのです。
また、オートレベリングの技術を応用してカーブを曲がる際、ハンドルの切れ角に応じて光軸を左右に変化させることによりカーブの先を照らすことを可能にしている車種もあります。
オートマチックハイビームとはハイビームで走行中に対向車のヘッドライトや先行車のテールランプを検知すると自動でロービームに切り替え、検知しなくなるとハイビームに戻す機能です。
しかし、これでは対向車とすれ違うときにはハイビームで走行できないので部分的にハイビームを遮光するアダプティブハイビームシステムが開発されました。
アダプティブハイビームシステムは主に対向車の位置に合わせて遮光板で遮光する車種とハイビームが照らす範囲をLEDごとに細かく分けておいて対向車の位置に合わせて部分的に消灯する車種があります。

トヨタMIRAIは、4灯式LEDヘットランプが装着

トヨタMIRAIは、4灯式LEDヘットランプが装着

LEDを採用するメリットが多くなった今、多くの自動車にLEDが使われています。
しかしまだLEDは発熱量の問題があり、改良の余地があると言われています。
さらに省電力化が進み、無駄な発熱が減少し、光量が増すと今よりももっと明るく、安全な未来があると考えています。

(執筆:岐阜大学自動車部)

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