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頭文字Dから探るRX-7 (FD3S)のタービン

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頭文字Dから探るRX-7 (FD3S)のタービン

どうも、こんにちは北大自動車部です。
2017年は大寒波が到来し、寒い日が続きますね。
北大自動車部がある札幌でも大雪が高頻度で降り、路面は凸凹ツルツルの状態です。
そんな雪国の自動車部にある車は、三菱ランサーエボリューションやスバルインプレッサといった4WD車がやはり多いと思われがちですが、そんなことはありません。
トヨタMR2(SW20)・日産スカイライン(ER34)・マツダRX-7(FD3S・FC3S)といた後輪駆動車も多数あり、もちろん北海道の冬道を走っています。
これらの後輪駆動車は車好きであれば必ずと言って見聞きするマンガ「頭文字D」で登場し、かっこいいバトルを繰り広げていますよね。

読者を惹きつけた、作中の擬音

読者を惹きつけた、作中の擬音

特に物語の登場人物である“高橋啓介”の乗る黄色のFD3Sに憧れて、将来はFD3Sに乗りたいと思っていた方、今もそう考えている読者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回はFD3Sを頭文字Dで登場する3つの言葉から探り、紐解いていきたいと思います。

筆者の愛車のマツダRX-7(FD3S)

筆者の愛車のマツダRX-7(FD3S)

ちなみに上記の画像は、北海道で雪にまみれる私のFD3Sの姿。
リトラクタブルヘッドライトは凍ってしまい、開かなくなるのを防ぐために、常時開いておくのが北国の常識です。

◇ 紐解き:その1(ブーストアップ)

『はっえぇーーっ!! バカッ速!! 高橋啓介のFD 350馬力はダテじゃねぇ』
(講談社 頭文字D 2巻18ページ)

この言葉は物語の主人公“藤原拓海”の乗るトレノAE86と、“高橋啓介”のFD3Sとのバトル時に沿道のギャラリーが言い放った言葉です。
この言葉から“高橋啓介”のFD3Sは「ブーストアップ」していると考えられます。
FD3Sには前期型(1、2、3型)中期型(4型)後期型(5、6型)があります。
前期型は255PS/6500rpm、中期型は265PS/6500rpm、後期型はタイプRBを除き280PS/6500rpmとなっており、着実に馬力が上がっていると分かります。
前期型と中期型の馬力の違いは型番こそは違いますが、同形のタービンを使用し、ブーストアップによって10馬力出力アップしています。
また、それにともなってCPUも8ビットから16ビットに変更されています。
そして280馬力に到達した後期型では出力重視で作られた前中期型のタービンと異なり、アブレダブレシールが採用され、コンプレッサーホイールが小径化された反応性重視の新たなタービンに変更されています。
では、“高橋啓介”の乗るFD3Sはどのように350馬力ものパワーを得ているかは、おそらくブーストアップであると考えられます。
後の言葉で理解していただけると思いますが、高橋啓介のFD3Sはシーケンシャルターボであります。
FD3Sのチューニングではタービンを含むエンジン補器類の変更のみで純正のシーケンシャルターボの過給圧を1.0㎏程度に高めるだけで、約350~370馬力程度までパワーを上げることが可能なのです。
また、物語に描かれているフロントバンパー・リアコンビランプの形状から“高橋啓介”のFD3Sは前期型(255PS/6500rpm)であると断定できます。
従ってブーストアップによって350馬力ものパワーを得ていると考えるのが妥当です。
しかし、ブーストアップはFD3Sの手軽なチューニング方法ですが、異常燃焼を招いたり、純正タービンの寿命を短くしたりするリスクも伴います。

◇ 紐解き:その2(ツインターボ)

『どうしたんだ今日に限ってFDがやけにノロく感じる!!クソッタレがセカンダリータービン止まってんじゃねーのか!!』
(講談社 頭文字D 2巻45ページ)

これは“高橋啓介”が“藤原拓海”のAE86に煽られている最中に苦し紛れに言い放った一言です。
そうです。先ほど少し触れましたが、FD3Sの純正タービンは「シーケンシャルターボ」という種類のタービンになります。
シーケンシャルターボとはエンジンの作動状態によって2つのタービンを使い分けるターボチャージャーになります。
2つのタービンを使っていることから、シーケンシャルツインターボとも呼ばれています。
FD3Sのシーケンシャルターボでは同サイズのタービンが並列に置かれ、タービンの排気側にウェストゲート、吸気側にリリーフバルブや切り替え弁が設置され、エンジンの低回転域では全排気ガスをプライマリータービンに流入させ、中高回転域では吸排気の切り替えバルブによってプライマリーとセカンダリーの両方のタービンで過給を行う仕組みとなっています。
このように、シーケンシャルターボは複雑な機構で2つのタービンを使い分けることでターボラグを減らし、スムーズに過給を行っています。
しかし、この複雑な機構故にトラブルも多いのです。
特にブーストがかからない、セカンダリーに切り替わらないというトラブルが多く、“高橋啓介”がほとばしった一言もごくありえることなのです。
そのトラブルの要因となっているのは、5つもあるシーケンシャル制御用のバルブと、さらにそれらを動かすソレノイドバルブが6個もある複雑な構造です。
さらなる要因は、そのバルブ類がそれぞれが細いホースでつながれていることです。
また、これらのホースは、タービンがエンジンの下部に取り付けられていることから、すぐにボンネットを開けただけではトラブル要因の発見もできないです。

RX-7(FD3S)のターボタービン付近

RX-7(FD3S)のターボタービン付近

上記の画像の通り、FD3Sのタービン周りは細い配管が何本も張り巡らさられています。
配管は樹脂製でタービンの熱によって劣化し、ホース割れなどが起きやすくなっています。

◇ 紐解き:その2(シングルターボ)

『むこうはシングルタービンだっていったけ・・それはどういう意味なんだ!?シングルとツインの何がちがうっていうんだ!?』
(講談社 頭文字D 23巻26ページ27ページ)

この言葉は、シングルタービンにチューニングされたFD3Sとバトルとなった“高橋啓介”の言葉になります。
同じFD3Sといっても、純正タービンから社外シングルタービンに変更されたFD3Sと純正タービンでブーストアップされたFD3Sでは大きく乗り味が異なります。
社外シングルタービンに変更するメリットは大きく分けて2点あります。
1点目は、純正タービンのブーストアップよりもハイパワーを得ることが可能になるということです。
例えば、FD3Sによく取り付けられることが多いとされるHKSのTO4シリーズのタービンでは400~450馬力ほどまで出力が向上します。
このことから、よりパワーが要求されるドリフトやサーキットといった自動車競技ではタービン交換されたFD3Sがよく見られます。
また、シングルタービンに変更することでハイパワーになるだけでなく、自然な出力特性も得ることができます。
純正タービンであるシーケンシャルツインターボはプライマリータービンにだけに流れていた空気をセカンダリータービンにも流入するようにシーケンシャル切り替えポイントがあり、やはりその切り替えでどうしても出力特性の段付きが生まれてしまうのです。
その点で大風量のシングルタービンはより自然な出力特性となっており、扱いやすくなっています。
しかし、シングルタービンにも種類が多くあり、近年採用されているツインスクロールタイプのタービンではなく、「通称:ドッカンターボ」といわれる一昔前のタービンを取り付けるのであれば、純正のシーケンシャルツインターボのブーストアップほうがターボラグが少なく有利であるとも考えられます。
2点目は、なんといってもシーケンシャルツインターボの複雑な構造と比べ、簡略化されることで耐久性が増す点であるといえます。
このことから、純正タービンがもし壊れてしまった場合において、純正タービンのリビルト品と社外のシングルタービンとは価格差がさほどないため、シングルタービンを導入する方もかなりいるみたいです。

以上、3つの「頭文字D」の中での言葉をきっかけにFD3Sのタービンについて触れましたが、どうだったでしょうか?
昔から、排圧の高さと燃焼室が分断されている点でロータリーエンジンとターボは相性が良いといわれていますが、諸説あるようです。
しかし、中高回転域で2基のタービンが回りだしてからの爆発的な加速。
そして官能的なタービン音。
それらは、誰もがFD3Sという車の真髄を感じられる瞬間である事でしょう。
そんなFD3Sに現在乗っている方、もしくはこれから乗るであろう人に、今後タービンが壊れてしまった場合のために先日私が行った純正タービンの降ろし方の手順をざっくりと説明します。

◇FD3S純正ターボタービンの取外し片

まず、ボンネットを開けてみて純正タービンはエンジン左の一番下側に隠れています。

RX-7(FD3S)のエンジンルーム

RX-7(FD3S)のエンジンルーム

左部分の補器類を外さずにはさっぱりタービンは見えないのです。
そのため、まず吸気系のエアクリーナー、エアポンプ、タービン周りの吸気エアインテークパイプ3本をとります。
ここまでは、わりと容易にできます。

そのつぎにタービンの排気側とつながっているフロントパイプを取るために、フロントパイプ真横を通っているステアリングシャフトを抜く必要があります。
ステアリングシャフトは大抵の場合は錆びていることが多く固着もしている場合があるので潤滑スプレー等を吹きかけて頑張って下さいね。

ステアリングシャフトを取外した運転席

ステアリングシャフトを取外した運転席

ステアリングシャフトの短い棒の末端を抜くことができなかった私は、ご覧の通り運転席側からひっぱり、ステアリングシャフトをまるごと引き抜きました。

次はタービンとフロントパイプの切り離しに入ります。
フロントパイプはナット4個で固定います。
これも排熱等で固着している可能性が高いので潤滑スプレーを吹いて、ナットがなめらないように取り外して下さい。
もちろん、O2センサーも取るのを忘れずに。

いよいよタービン自体が御目見えして本体を取り外す作業になります。
そこで厄介なのが、シーケンシャルターボ独特のタービンにつながる細い配管を取り外す作業になります。
オイルの配管3本、クーラントの配管2本、エアの配管6本、アクチュエーターを取り外します。
これらの細い配管もオイル管以外、樹脂製であるため、裂けやすいので注意して取り外しましょう。

そして、最後に、タービンとエキゾーストマニホールドをつなぐボルト・ナット計8個を取ります。
そうすると、タービンはエキゾーストマニホールドから伸びるスタッドボルトにささって支えられている状態となり、上から取ることが可能となります。
熱害からかエキゾーストマニホールドから伸びるボルトをナットごと折ってしまうこともあるので、ここでも潤滑スプレーを吹いて、急がず丁寧に作業をしましょう。
もしスタッドボルトを折ってしまうとエキゾーストマニホールドも用意する必要も出てくるので気を付けましょう。
タービンだけを降ろす場合、どの作業も狭いスペースしか使えないため、タービンの他にトラブルがある場合はエンジンごと降ろしてみるのも良いでしょう。

ターボ本体へアクセスする作業工程自体は補器類を取り外していく単純な作業ですが、やはり熱源の近くのボルトやナットというだけに、固着がひどく、かなり時間を要す作業でした。

取外されたターボタービンの排気側

取外されたターボタービンの排気側

上記の画像は、エキゾーストマニホールドとの間が白く染色され、大きくクラックが入っていたFD3S後期タービン。

赤い丸印内にクラックが入った

赤い丸印内にクラックが入った

私はマフラーから白煙がでる要因を探るためにタービンを下しました。
そして同じく純正のタービンに交換しましたが、やはり白煙の原因はタービンブローでした。
FD3Sのタービンはエキゾーストマニホールド側にクラックが入ることはつきもので、そのクラックが大きくなるとブローにつながります。
みなさんもエンジンオイルの減りが異常に早い、白煙が出る、過給しないなどの症状がでたらタービンを疑ってみてください。

分かりにくい説明だったかもしれませんが、少しでも参考になれば幸いです。

話変わりますが、今年2017年はロータリーエンジン生誕50周年ですね。
新型RX-7販売の噂もちらほらあり、期待しちゃいますよね!!

ロータリーロケットよ、永遠なれ。

それではどうもご精読ありがとうございました。

(執筆:北海道大学体育会自動車部)

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