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定常円旋回 ~なぜ車は曲がるのか~

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定常円旋回 ~なぜ車は曲がるのか~

◆定常円旋回 ~なぜ車は曲がるのか~

今回のテーマは,”車が曲がる理屈”について話していこうと思います.
「なぜ,車が曲がるのか...」
車を運転したことがある人にそんなことを聞いたら,笑いながらこう答えるでしょう
「ハンドル(ステアリング)を切るからだよ」
今ではそれぐらい,車が曲がることは至極普通のことになっています.では,”なぜステアリングを切ると車が曲がるのか?”ということについて少し掘り下げてみようと思います.なぜなら,進行したい方向-曲がりたい方向-に前輪が向くから曲がることができる,という単純な話ではないからです.

ハンドルを回せばタイヤも周る?!

ハンドルを回せばタイヤも周る?!

では,どういうことが起こって車が曲がっているのかを,簡単に説明します.

1.ドライバーがステアリングを右へ切る
2.前輪の回転方向と進行方向がずれる-このずれの角度をスリップアングルという-
3.スリップアングルによって車体の向きが右へ向く
4.後輪の回転方向と進行方向がずれる
5.車が曲がり始める

図 1 スリップアングル

図 1 スリップアングル

ここでは,旋回する際の車体の変化をイメージしてもらうため,運動の物理に関する言及は避けました.大雑把に説明すると,車が曲がるときは次のような手順を踏んでいます.まず,ドライバーがステアリングを切ると,タイヤの進行方向と回転方向が異なることで捻りが生じます.この時の捻りによって生じるタイヤの進行方向と回転方向のずれの角度をスリップアングルと呼びます.
前輪にスリップアングルがついた車は,重心を中心として回転しようとします.つまり,上記の例だと右方向に自転運動を開始するわけですね.車が自転運動を始めると,後輪にもスリップアングルが生じます.これは,車体の進行方向と自転方向が異なるためにずれが発生するからです.以上の流れから,最終的に前輪と後輪はスリップアングルをつけて,車は旋回を行います.

次に,なぜ前輪と後輪にスリップアングルがつくと車が曲がるのか?について言及します.結論から言うと,車体にかかる遠心力とタイヤが生み出す向心力が平衡するために,車は旋回することができるのです.では,先ほどの車体変化の流れに,物理に関する説明を付け加えてみましょう.

1.ドライバーがステアリングを右へ切る
2.前輪がスリップアングルをつける
3.前輪に横力Fが発生する
4.重心に右回りのヨーモーメントM(回頭モーメントとも呼ぶ)が発生する-すなわち自転運動が始まる-
5.自転運動により車体がスリップアングルをつける-後輪にスリップアングルがつく-
6.後輪に横力Rが発生する
7.重心に左回りのヨーモーメントM’が発生する
8.重心に働くヨーモーメントM’’がM’’=M-M’に変化する
9.FとRが徐々に増加していき,M’’=0になったところで自転速度が一定になる-ヨーモーメントが消失する-
10.車体に働く求心力と遠心力が釣り合い,車が旋回中心を軸に旋回を始める

図 2 曲がる原理

図 2 曲がる原理

2までの流れは先ほどと同じです.では,前輪にスリップアングルがつくとどうなるのかを見ていきます.スリップアングルがついた前輪のタイヤは,その回転方向に対して直角方向に力を発生させます.これが横力です。厳密に言えば,横力とはタイヤの進行方向に対して直角に働く力のことを指します.しかし,スリップアングルは非常に小さな値であるため,ここでは分かりやすくするためにこのように記述します。前輪に横力が発生した車は,重心を中心に回転する力であるヨーモーメントが発生します.このヨーモーメントによって車はステアリングを切った方向へ回転運動を始めます.
回転運動を始めた車は,進行方向と回転方向にずれが生じます.これが車体のスリップアングルです.後輪は車体の動きを追従するので,後輪にも車体とほぼ同じスリップアングルがつき,横力を生じさせます.後輪に横力が生じると重心を中心とするヨーモーメントが働くのですが,ここで働くヨーモーメントは前輪が発生させるヨーモーメントの向きと逆方向-すなわち,ステアリングを切った方向とは逆の向き-に生じます.
こうして,前輪の横力が発生させるヨーモーメントと後輪の横力が発生させるヨーモーメントの釣り合いが取れた時-すなわち,ヨーモーメントが消失した時-に,自転速度が一定となります,従って,車に働く遠心力と求心力が釣り合い,一定の半径を持つ円周に沿って車は曲がっていきます.

以上が”車が曲がる”ということの順序になります.ここでは,車の旋回運動に関する自転と公転について補足説明を行います.車の自転とは,車の重心を中心に回転する動きであり,地球が地軸を中心に回転している運動と同じ動きになります.また,車がその向きを変えずに円周上を移動することを公転運動と呼びます.地球に例えると,太陽の周りを周回している動きになりますね.まとめると,車が曲がるためには,この自転運動と公転運動の両方が同時に行われなければなりません.上記のプロセスで説明したように,自転運動によって求心力が生じて公転運動が発生します.そうして,自転と公転が釣り合って綺麗な旋回運動になるのです.

では,自転と公転のどちらかが欠けると車がどのような動きになるのか?

自転運動のみで公転が伴わない場合,車はスピン状態に陥ります.一方で,自転を伴わない公転はドリフトと呼ばれています.別のコラムでも特集されているドリフトというのは,(https://www.hai-sya.com/column/drift_univ002.html)ドライバーが意図的に”後輪が発生させる横力”よりも”後輪にかかる遠心力”を大きくして走行している状態-いわゆる,ケツが滑っている状態-なのです.
ただし,単純に後輪の遠心力を大きくするだけだと車は前輪を中心にスピンしてしまうので,アクセルやステアリングをコントロールして自転運動を制御しつつ公転運動を行っています.この後輪の”求心力”より”遠心力”が強いというのは,リアタイヤのグリップ能力が飽和した状態-後輪の駆動力と横力の合力がタイヤの限界を超えた状態-を意味します.グリップ能力を飽和させるには”駆動力”あるいは”横力”のどちらか-もしくはその両方-を増大させてやればいいわけですが,一般的には駆動力を大きくしてやる方がより簡単に行えます.これがドリフトを嗜む方達にハイパワーな車が好まれる理由のひとつですね.
ただし,このやり方の場合はエンジンの駆動力で無理矢理タイヤを回していますから,タイヤの消耗は早くなります.また,スピンターンとは車に自転運動のみを行わせる挙動のことを指します.すなわち,後輪の求心力よりも遠心力が大きくなるような状況を作り,前輪を中心に回転する状態のことです.

話が逸れました.まとめると,車はステアリングを切ることで自転運動が始まって求心力を生みます.その求心力は公転運動を誘発し,自転と公転が釣り合って車は旋回を行うのです.また,当たり前ですが前後輪のタイヤのいずれかの摩擦円-タイヤに働く前後方向ならびに左右方向の力の合計-が駆動力もしくは制動力で飽和している場合,そのタイヤは旋回の為の橫力を発生させることはできません.前後輪のどちらか一方がいくら橫力を出しても旋回のための求心力は生まれないため,自転は可能ですが旋回はできなくなります.強力な加減速中にステアを切っても曲がれないのはこのためです.では、前後輪共に駆動力およびに制動力が飽和していない状態ではどうなるのか.それは次節でお話しします.

◆優勢横力発生時における旋回 ~アンダーステアとオーバーステア~

前節では,”なぜ車は曲がるのか?”をテーマに定常円旋回に関する説明を行いました.結論としては,車は前輪と後輪の横力がバランスをとることで自転運動と公転運動が平衡し,旋回できるというものでした.また,余談ではスピンやドリフトに関しても簡単な解説を行いました.今回は,前輪の横力,もしくは後輪の横力のどちらか一方が優勢である状況下での旋回時における車の挙動について説明していきます.
ところで,”アンダーステア”と”オーバーステア”,この2つの言葉をご存知の方は多いと思います.また,それぞれの言葉の意味についても,アンダーステアとは旋回運動中に円軌道が膨らむ現象を指し,オーバーステアとは旋回運動中に円軌道が縮んでいく現象を指すこともご存知かと思います.では,このアンダーステアとオーバーステア発生した際における車に働く力の動きを見ていきましょう.

そもそも,なぜ車が一定の旋回が出来るのかを軽くおさらいすると,前輪および後輪の横力によって発生する重心周りのヨーモーメントが消失するからでした.一般的にこの状態をニュートラルステアといい,アンダーステアやオーバーステアはこのヨーモーメントが消失しない時に生じる軌道の特性です.アンダーステアは前述の通り旋回軌道が膨らむ現象を指しますが,これは前輪の橫力よりも後輪の橫力の方が強い状態において発生します.この現象は後輪が発生するヨーモーメントの方が強い後輪優勢の状況-すなわち、ヨーモーメントが負-に陥るため,旋回に対して抵抗する力が増大します.軌道が膨らんでしまうのはこのためです.
一方でオーバーステアはその逆,つまり前輪の橫力の方が強い状態で発生します.この状況下では前輪が発生するヨーモーメントの方が後輪のそれに比べて勝っている前輪優勢-ヨーモーメントが正-であるため,旋回を助長するので,その軌道は縮みます.一般的に,前後輪の摩擦円が駆動力・制動力および橫力によって飽和している状態-この状態における橫力を飽和橫力という-におけるヨーモーメントは正もしくは負に傾くので,ヨーモーメントをゼロにするために前後輪のどちらかの橫力を抑制しなければなりません.ステア特性は弱い方の飽和橫力によって決定されるため,前後輪で優勢な方の橫力を抑制します.ヨーモーメントが負の場合,すなわちアンダーステア下においては後輪優勢であるため後輪の橫力を抑制して旋回を行います.一方のオーバーステア下では前輪が優勢ですから,前輪の橫力を抑制して旋回することになります.

蛇足ですが,一般的にオーバーステアにセッティングされた車よりアンダーステアにセッティングされた車の方が車の挙動を制御しやすい傾向にあります.オーバーステアはハンドルを切り過ぎると内側へ車が斬り込むので,アンダーステアと比較してより慎重なステア操作を要求されるからです.そのため,一般的にはアンダーステア傾向になるようにステアリング特性が設定されています.

図 3 オーバーステアとアンダーステア

図 3 オーバーステアとアンダーステア

まとめると,ヨーモーメントの状態によって旋回時の特性が異なり,一定の旋回軌道を描くニュートラルステア,旋回軌道が膨らむアンダーステア,旋回軌道が縮むオーバーステアの3つに大別されます.また,アンダーステアやオーバーステアは摩擦円の飽和橫力を抑制することで一定の旋回を実現するのです.

なぜ車は曲がる?ハンドルの舵角は?

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車の旋回とハンドル操作

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(執筆:岐阜大学自動車部)

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