VTECと吸排気

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VTECと吸排気

皆さんはVTECという機構をご存知ですか?
Variable valve Timing and lift Electronic Control systemの略なのです。
直訳すると可変バルブタイミング及びリフト電子制御機構という意味になりますがなんのことだかよくわからないですよね。

VTECとは可変バルブ機構の技術

VTECとは可変バルブ機構の技術

まずこの仕組みをよく理解していただくためには、みなさんにもっと車のエンジンの仕組みについて理解していただくことが必要なので、そこからご説明させていただきます。

まず車のエンジンというのは、ロータリーエンジンやガスタービンエンジンなどの特殊なエンジン以外はレシプロエンジンと呼ばれているものになります。
ジェットエンジンが主流になる前の戦闘機やバイク、発電機などにも利用されているとても優秀なエンジンです。
このエンジンはシリンダー(筒)の中で燃料を爆発させ、その力を回転運動に変えるという仕組みです。図を用いて詳しく説明しましょう。

(図-1)回転運動と往復運動

(図-1)回転運動と往復運動

図-1右手の正方形は、水平のレール上に固定されているものとします。
この状態のまま、図-1左手の円を回転させると正方形が往復運動をすることが想像できるかと思います。
これと逆の動作をするのがレシプロエンジンの仕組みです。
燃料が爆発したパワーで正方形の部分を押し、円が回転します。
(正方形、円の部分はエンジンでは“ピストン”“クランクシャフト”と呼びますので、以後こう呼ばせていただきます)
ここで気づいた人もいるかもしれません。
蓋をされている状態のシリンダーの中で爆発してピストンを押すというのは理解できるかもしれませんが、いまいち理解出来ないのはピストンはどうやってまた戻っていくのだろうかと言う点ではないでしょうか。
ピストンが戻る際はシリンダーの蓋が開き爆発の圧力を逃します。
クランクシャフトは中心軸の先にフライホイールという“重り”のような部品がついています。
この重りが回転する力を慣性力として保持し、その力によりクランクシャフトを回転させ、ピストンを戻します。
簡単に言ってしまうと、重いものが回転している勢いでピストンを動かしてしまうというものです。
そしてその勢いのまま蓋が開いた状態で空気と燃料を取り込みながらピストンが下がり、蓋が閉じた状態でピストンが上がりながら空気と燃料を圧縮し、最後に点火し爆発させ、またこれを繰り返すという仕組みです。

ここでVtecに関係してくるのは先ほど述べた“蓋”に関してです。この蓋を“バルブ(弁)”と呼びます。
VTECのVの部分ですね。
このバルブというのは、クランクシャフトからタイミングベルトやタイミングチェーンと呼ばれるものを介して回転する、カムシャフトという部品によって開け閉めされます。

タイミングベルト(丸いギアを回ってる部分のベルト)

タイミングベルト(丸いギアを回ってる部分のベルト)

通常このカムシャフトの形状というのは一定のままなのですが、エンジンには回転数によって最適なバルブを開け閉めする量や時間があります。
高回転時にはたくさんの空気を素早く吸い込み、また吐き出したいため、バルブを長い時間大きく開くのですが、それは直感的に理解できるかと思います。
しかし低回転時にも同じように、というわけにはいきません。
空気にも質量があり、慣性の法則が成り立つので、力を加えてから動き出すまでに時間がかかります。
そのため、本当に吸気したいタイミングよりも少し早めにバルブを開きます。
このとき排気側のバルブと吸気側のバルブが開いているタイミングが重なっているときがあります。
これを“バルブオーバーラップ”といい、排気ガスを排出する勢いを利用して吸気しようというものなのですが、低回転時にバルブオーバーラップを大きくとってしまうと、ピストンの速度が遅く吸気圧が低いために、排気する燃焼ガスにまだ燃焼させていない燃料と空気が押し出されてしまいます。
そうするとシリンダー内に燃焼済みのガスがあるわけですから燃焼効率は下がります。
高回転時には吸気圧が大きいためたくさん空気を取り入れることができ空気の充填効率がよくなるのですが、低回転時はよくありません。

このように中~低回転時また高回転時の両方においてパワーのあるエンジンを作ろうと思うとなかなか難しいわけです。
とちらかをとれば、どちらかかが犠牲になってしまいます。
F1なんかのエンジンは低回転時はある程度犠牲にして、高回転時に一番パワーが出るように設計しています。
これはドライバーが頻繁にシフトチェンジをおこない、エンジンを高回転で回し続けることを維持し続けるということを想定されているからです。
街乗りのときみたいに2000回転までしか回さない、なんて運用状況は想定されていません。

つまりこのようなレース用のエンジンは高回転時に一番パワーが出さえすればいいのです。
逆にお母さんのお買い物車にそんなことは求められていません。
近所のスーパーに行くまでの間にレッドゾーンまでエンジンを回すお母さんはいないでしょう。
信号待ちの発進や坂道なんかで不満なく加速できるだけのパワーがあればそれでいいはずです。
つまりエンジンの回転数をあまり上げなくてもそこそこのパワーが出るエンジンが求められます。
高回転時の出力は犠牲になっています。
日常の使い勝手とスポーツ性を両立させるためにはどうしたらいいのでしょうか。

そこでホンダさんが考えたのは高回転時と低回転時それぞれで使用する“カムシャフト”を切り替えるということでした。
切り替えるとは言っても本当に複数本のカムシャフトを用意しているわけではありません。
エンジンのバルブはカムシャフトから直接押されているものもありますが、“ロッカーアーム”といった部品を介して作動しているものもあります。
Vtecエンジンはこのロッカーアームに肝があります。

(ロッカーアームの画像1)

(ロッカーアームの画像1)

(ロッカーアームの画像2)

(ロッカーアームの画像2)

(カムシャフトの画像)

(カムシャフトの画像)

ロッカーアームの画像2のように、真ん中の部分は他の部品とは自由に動くため、カムシャフトがロッカーアームを押してもバルブにはその運動が伝わりません。
低回転時はこのように高回転用のカムヘッド(カムシャフトの出っ張った卵型の部分)が空回りしている状態となり、低速用のカムヘッドの運動のみがバルブに伝えられています。
しかしエンジンの回転数が上昇するとコンピュータが判断しVTECを作動させます。

まずコンピュータが“スプールバルブ”という部品に電流を流します。
電流を流されたスプールバルブは、電磁石の力でエンジン内部のエンジンオイルの流れ方を変え、オイルは高回転用のロッカーアームと低回転用のロッカーアームを連結させるピンを押し出しロッカーアームを連結させます。
これによりバルブに高回転用のカムヘッドの運動が伝えられます。とってもかっこいいですね。
さらにいい音もします。

~ まとめ ~
今回はホンダさんのVTECについてお話ししましたが、他のメーカーにも同じような仕組みは存在します。
例えば三菱さんの“MIVEC”なんかはVTECと同じようにロッカーアームと2種類のカムヘッドにより作動します。
トヨタさんの“VVT”は油圧の力により、クランクシャフトに対してカムシャフトの位相を変化させます。
詳しく説明しますとクランクシャフトからタイミングチェーンやタイミングベルトを介してカムシャフトに回転が伝えられるのですが、タイミングチェーンなどからカムシャフトへ回転を伝えるギアとカムシャフトがねじれる方向に変化します。
これにより吸排気のタイミングが変化し高回転、低回転両方での効率化を図っています。
パワーが出るということはアクセルを開ける量を少なくしても同じように進むということなので、燃費も良くなります。

そのため現在はスポーツカー以外にもたくさんの車種に採用されている技術です。
ダウンサイジングターボと並んで、パワーを出すために開発された技術が燃費のために導入されたものですね。
求める性能は違っていますが効率的な燃焼を促進するという点では同じですから。

広島大学自動車部直伝‼ ‼ ‼ ‼ VTECが入らないときの対処法‼ ‼ ‼ ‼

明日は大会なのにうちのB型エンジンのVTECが作動しない!
と、お困りの皆さん。
いつもそのような時に、うちの部でやっていることをご紹介します。

1:スプールバルブを交換してみる
なんでVTEC入んないんだろー?
って時はまずここを交換してみてもいいかもしれませんね。
皆さんの自宅にある死んだB型エンジンから剥ぎ取って移植してみましょう。
オイル漏れがある場合もVTECの入りが悪くなります。
そんな時には、オイルシールも交換しましょう。
これでたまに直ります。

2:コンピュータを交換してみる
バッテリーの端子を外し忘れたまま電装系の作業をしていませんか?
エンジンスワップをした後なんかに多い症状ですが、知らないうちにコンピュータがショートして壊れていることがあります。
この場合、チェックランプが点灯しないことがあるので原因がわかりくいです。
一旦、自慢のスプーン製のコンピュータは外してしまい、余っている純正コンピュータをつけてみましょう。
これでたまに直ります。

3:O2センサーの清掃をする
エキマニの中間パイプ側についているO2センサーを掃除してみましょう。
カーボンがたくさん付着している事に驚く事も多いですよね?
センサー類が綺麗になるとVTECもご機嫌になって入ってくれるかもしれませんね。

4:VTECコントローラーを外してみる
ショップで装着してもらったものなら大丈夫かもしれませんが、素人がDIYで着けてみたものなら外してみましょう。
配線が間違っているかもしれません。
素人作業ではVTEC以外の部分にも悪影響が出ることがあります。
うちの部では以前、ブレーキランプが点灯するとエンジンがストールする…
という症状が出たことがあります。
VTEC以外の症状でも、このような外付け部品は不具合の原因になることが多いです。

5:HONDAディーラーに行って聞いて見る
やっぱりプロはすごいですからね。
知識と技術のある人に見てもらうのが一番です。
ここで注意していただきたいのが、ディーラーは車検に通る車しか見てくれないことがほとんどです。
車検非対応のマフラーなんかは純正に戻し、低くなっている車高を上げてから行きましょう。
追い返されるのは悲しいですから。

そんなスゴイVTECというのは、モータースポーツの為でしょうと思われがちですが、元々ホンダ技研の根幹でもある“MM思想”(マン/マキシマム・マシン/ミニマム思想)からなる、燃費とパワーの両立を図る機構です。
街乗りのコンパクトカーから、高級車、スポーツタイプまで様々な車に搭載されています。
まさに、ホンダが世界に誇る優れた技術ですね。

(執筆:広島大学体育会自動車部)

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