ジムカーナPN1クラスって?

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ジムカーナPN1クラスって?

こんちちは、北海道大学自動車部です。
今回はジムカーナPN1クラスについて少しお話しします。
PN1クラスとは、一言でいうと「お買い物車クラス」です。
PN1の車両規定はエンジン排気量1600cc以下のFF又はFRのPN車両で、該当する車はその名の通り普段よく目にするフィット、デミオ、ヴィッツ、マーチ、スイフトなどです。
PN車両というのは、簡単に言うと2006年以降に出来た保安基準に適合する(車検に受かる)車で、この規制があるので1600ccのFFと聞いて思う浮かぶであろうEKシビックやCJミラージュ、1600ccのFRであるAE86は出ることが出来ません。

車両レベルが同一なので激戦クラスである

車両レベルが同一なので激戦クラスである

◇主な改造範囲
PN車両は改造範囲が狭く定められています。その主な範囲を説明します。
まずエンジンは、スパークプラグを変えることができます。
エアフィルターは純正と同じ形であれば交換可能で、エンジンマウント、ミッションマウントは純正と同一材質であれば変更可能です。ECU書き換えやマフラーなどは一切不可です。
駆動装置(トランスミッション、デファレンシャル)については、クラッチは数、直径の変更を除き変更可能です。
ただしカーボン製は使用不可です。
デファレンシャルはボルトオンで取り付け可能なものであればリミテッドスリップデフ(LSD)に変更可能です。
最低重量はカタログなどに記載されている車両重量となります。
グレードなどで車両重量が異なる場合は、車両型式が同一のグレードの一番軽い車両重量が最低重量となります。
サスペンションは別タンク式のもの以外には変更可能ですが、遠隔操作によって減衰力調整ができるようにすることはできません。
ブレーキはブレーキパッド、ブレーキシューのみ変更可能で、これもカーボン製は使用不可です。
タイヤは、いわゆるSタイヤは使用不可で、スポーツラジアルタイヤまで使うことが出来ます。
サイズは幅が純正+10mmまで大きくすることができます。
インチは純正+1インチまで大きくすることが出来ます。
ホイールは基本的に変更自由です。ただし複合素材のものは使用不可です。
内装は基本的にはがすことはできません。
ステアリングは外形350mm以上のものであれば変更可能で、ペダルやシフトノブも変更可能です。
シートも運転席に限り細かい規定はありますが変更可能です。
4点やそれ以上のシートベルトについては定められた取り付け方法で取り付けることが出来ます。

ざっと書くとこのような感じで、改造範囲が狭いことがよくわかると思います。
特にマフラーが変更不可なのは驚きかと思います。
改造範囲が狭いということはお金がかからないということでもあり、競技を始めやすい、車の差が出にくく純粋な腕勝負ができるなどのメリットがあります。
そこで、もともと改造範囲が狭いPN1ですが、大会に出て戦うための最低限やった方がいい改造を書いていきます。
【サスペンション】
→ 速いコーナリング、サイドターンを成功させるために必須。

【ブレーキパッド・ブレーキシュー】
→ サイドターンをするためにサイドブレーキを引くが、純正のままだとタイヤがロックしないため必須。

【リミテッドスリップデフ(LSD)】
→ サイドターン時、車を前に進めるために必須。

【タイヤ】
→ いくらサスペンションやブレーキが良くても地面と接地しているタイヤのグリップが低ければ意味がないので必須。

【フルバケットシート・4点シートベルト】
→ 体が動いては正確な操作ができないので必須。少なくともどちらかは欲しいところ。

たった5点ですがこれだけやっておけば戦うことが出来ます。
この敷居の低さがPN車両の利点ですね。

◇PN1に出ることのできる車の比較
現在新車で購入でき、PN1で出ることのできそうなフィットRS・ヴィッツRS・マーチNISMO S・ノートNISMO S・スイフトスポーツ・デミオ15MB・ロードスターについていろいろ比較してみました。

  フィット ヴィッツ マーチ ノート スイフト デミオ ロードスター
車両型式 GK5 NCP131 K13改 E12改 ZC32S DJLFS ND5RC
駆動方式 FF FF FF FF FF FF FR
車両重量 1050 kg 1020 kg 1010 kg 1080 kg 1040 kg 1010 kg 990 kg
排気量 1496 cc 1496 cc 1498 cc 1597 cc 1586 cc 1496 cc 1496 cc
馬力ps/rpm 132/6600 109/6000 116/6000 140/6400 136/6900 116/6000 131/7000
トルクkgf・m/rpm 15.8/4600 14.1/4400 15.9/3600 16.6/4800 16.3/4400 15.1/4000 15.3/4800
タイヤ 185/55R16 195/50R16 205/45R16 205/45R17 195/45R17 195/55R16 195/50R16
油種 レギュラー レギュラー ハイオク ハイオク ハイオク ハイオク ハイオク

PN1に該当する7車種のスペック比較表

駆動方式はロードスターがFRですがその他はすべてFFです。
車両重量はロードスターが一番軽く、次にマーチ・デミオです。
反対にノートは他と比べて少し重いです。
車両重量は加速・コーナリング・ブレーキングすべてに響いてくるので軽いほど有利です。
排気量はノートとスイフトスポーツが1.6Lで、他は1.5Lクラスカーとなります。
馬力もノートが一番出ていて次にスイフトスポーツと1.6Lの2台が上位に来ました。
1.5Lの中ではフィットとロードスターが他の1.5Lに比べて頭一つ出ていて、1.6Lの2台との差もあまりありません。
トルクも1.6Lの2台が一番二番ですが、マーチが三番手にきました。
さらにマーチはそのトルクの発生回転数が3600rpmと低いのでサイドターンからの立ち上がりなどが有利になると考えられます。
タイヤは日産車の2台が205と広く、フィットが185と他に比べて狭いです。
幅は広いとグリップが増すのでフィットは他と比べると若干不利です。
油種はフィットとヴィッツがレギュラーでその他はハイオクとなります。
レギュラーとハイオクではだいたい1Lあたり10円ほど差がありますので走りこむほどその差が出ます。
注目すべきはレギュラーのフィットで、同じ排気量でハイオクのロードスターよりも馬力・トルク共にわずかながらですが、上まっています。

このようにグラフで見てみると若干の有利不利はあるものの、どの車でも戦うことはできそうです。 ただしヴィッツは馬力がなく車両重量も特別軽いわけではないので苦戦しそうですが。

◇全日本ジムカーナで活躍する3車種
上でどの車も大きな差はないと言ったものの2016年全日本ジムカーナにはフィット・スイフトスポーツ・ロードスター以外出てきませんでした。

スズキ:スイフトスポーツ(ZC32S)

スズキ:スイフトスポーツ(ZC32S)

  スイフトスポーツ
車輌型式 CBA-ZC32S
駆動型式 FF
全高 1510mm
トレッド幅(フロント) 1470mm
トレッド幅(リア) 1475mm
ホイールペース 2430mm
マツダ:ロードスター(NDR5RC)

マツダ:ロードスター(NDR5RC)

  ロードスター
車輌型式 DBA-ND5RC
駆動型式 FR
全高 1235mm
トレッド幅(フロント) 1495mm
トレッド幅(リア) 1505mm
ホイールペース 2310mm
ホンダ:フィット(GK5)

ホンダ:フィット(GK5)

  フィット
車輌型式 DBA-GK5
駆動型式 FF
全高 1525mm
トレッド幅(フロント) 1475mm
トレッド幅(リア) 1465mm
ホイールペース 2530mm

全日本のTOPレベルの選手が使用している、その三車種について比較してみます。
まずは全高・トレッド・ホイールベースについてです。

  フィット スイフトスポーツ ロードスター
車両型式 DBA-GK5 CBA-ZC32S DBA-ND5RC
駆動型式 FF FF FR
全高 1525mm 1510mm 1235mm
トレッド幅(フロント) 1475mm 1470mm 1495mm
トレッド幅(リア) 1465mm 1475mm 1505mm
ホイールベース 2530mm 2430mm 2310mm

2016年:全日本ジムカーナ選手権に出場した3車種の各寸法

全高とは地面からルーフの上までの高さです。
フィットとスイフトスポーツはほぼ同じですがロードスターは約300mmも低いです。
全高が低ければ重心も低くなり、重心は低ければ低いほどコーナリングスピードが上がるので、ロードスターはフィット・スイフトスポーツに比べてコーナーが有利となります。
トレッドとは左右のタイヤの間の長さです。
表を見てもわかる通り、実は車の前後でトレッドは違うのです。
フィットは前の方が広くスイフトスポーツはリアの方が広く、トレッドから見ればフィットの方がサイドターンはしやすそうです。
ロードスターはリアの方が広くFRなので安定してアクセルを開けることが出来ます。
サイドターンについてはFRなのでトレッドだけでは一概には言えません。
ホイールベースとは前後のタイヤの間の長さです。
フィットは長く、ロードスターは短いですね。
ホイールベースが長いと高速コーナーが安定しますが小さいコーナーやスラローム、サイドターンは不利となります。
逆に短いと高速コーナーではスピンしやすくなりますが、小さいコーナーやスラロームでは車の向きが変わりやすいので有利となり、サイドターンではリアが出やすいので成功しやすくなります。
ホイールベースから見るとフィットとスイフトスポーツではスイフトスポーツの方がサイドターンはしやすそうです。
ロードスターは重心の低さも相まって、小さいコーナーやスラロームでは速さを見せます。
サイドターンも小さく曲がることが出来ます。

そして馬力の小さい車ではギア比も重要になってきます。そこで次にギア比についてみていきましょう。

回転数-車速グラフ

回転数-車速グラフ

フィットは他に比べて1速がローギアード、全体的に各ギアの最高車速が低いのが特徴です。
1速がローギアードだと、サイドターン立ち上がりが有利になります。
一方各ギアの最高車速が低いので他の車が1速や2速で行けるところが、フィットだと2速や3速で行かなければならないため、コーナー立ち上がりが不利になったりすることもあります。
スイフトスポーツは最高回転数がロードスターより低いにもかかわらず、各ギアの最高車速が似ているのが特徴です。トルクの大きさを生かしたギアセッティングと言えます。
ロードスターの特徴は1-2速のつながりの良さといえます。
1速から2速へシフトチェンジをする加速は他の車より速いと言えます。
一方3速に入ると、パワーがほぼ同じフィットよりハイギアード、ロードスターよりパワーのあるスイフトスポーツとほぼ同じギアなので、3速の加速は少し劣ります。

◇2016年に出てきたタイヤたち
タイヤは車の中で唯一地面と接する部分で、いくら速い車でもタイヤが悪ければその性能を発揮することはできません。
競技においてタイヤは最も重要な部分といっても過言ではありません。
2015年、PN1などの市販されるラジアルタイヤを履かなければいけないクラスで主に使われていたタイヤは、
・ブリジストンRE-71R
・ダンロップDIREZZA ZⅡ☆(ゼットツースター)
・ヨコハマADVAN NEOVA AD08R
の3銘柄でした。
この3銘柄は多少の優劣はあるものの、性能は同じようなものでした。
装着するタイヤは選手によってそれぞれで、どれかに偏るということもありませんでした。
しかし2016年、ダンロップからDIREZZAの新しいモデルが発売されました。
それがDIREZZA β02です。タイヤパターン(タイヤの溝)が独特で、ゴムも今までのZⅡ☆より大幅に柔らかくなりました。
消しゴムで想像してみるとわかりやすいと思いますが、柔らかい消しゴムと固い消しゴムでは、柔らかい消しゴムの方が滑りにくいように、タイヤのゴムも柔らかい方がグリップするのです。
いち早く手に入れた人からは「すごいグリップだ」「これを履かないと勝負ができない」などの声が上がりました。
実際、ダンロップのβ02は他のタイヤに比べて1~2秒速かったのです。

2016年全日本ジムカーナPN1クラスの各タイヤ装着率

2016年全日本ジムカーナPN1クラスの各タイヤ装着率

全日本ジムカーナ第1戦は、発売から1週間ちょっとだったこともあり、ダンロップタイヤの装着率は2015年と変わりありませんでしたが、第2戦は2/3の選手がダンロップタイヤを履いてエントリーしました。
その後最終戦まで毎回半分以上の選手がダンロップタイヤを選択しました。
成績も第5戦まで1位2位は必ずダンロップタイヤでした。
ところが第6戦、1位2位はヨコハマタイヤとなったのです。
この第6戦、ヨコハマから新しいモデル、ADVAN A052が発売さました。
A052のゴムは今までと比べて特別柔らかいということはありませんでしたが、さすがはβ02の対抗馬となるよう作られたタイヤで、みごとデビューウィンを飾りました。
A052は、発売されたのが遅かったこともあり、今年は装着率があまり伸びませんでしたが、来年どのようになるのか楽しみですね。
また、ブリジストンがβ02・A052に対抗して新しいモデルを出してくるのかも注目です。
2016年全日本のシリーズポイントライキングでは、
1位:スズキ スイフト (ダンロップ)
2位:マツダ ロードスター (ヨコハマ)
3位:スズキ スイフト (ダンロップ)
4位:ホンダ フィット (ダンロップ)
5位:ホンダ フィット (ダンロップ)
6位:スズキ スイフト (ヨコハマ)
と、なっています。
全日本ジムカーナ選手権は全部で8戦あり、PN1クラスでは車種の違いによる差が少ないので、ドライバー技量、車の相性及びセッティング、タイヤ性能が大きく勝敗を左右するクラスです。

PN1クラス、普段街中で見る車が争う姿は少し笑えて、でもスポーツカーにも負けない速さで走っていく姿はかっこよく目に映ります。
こんな車でも競技が出来るんだ!全日本クラスの大会があるんだ!と思っていただけたなら著者はうれしく思います。
今回は主要車種についての比較をしました。最後に重要なのはドライバーの絶え間ない努力ですが、その戦うマシン達も相棒として重要な選択である事も間違いないでしょう。
もし今後、観戦することがあるならば、それぞれの特徴を思い出しながら観戦するとより一層楽しめますね。

(執筆:北海道大学体育会自動車部執筆)

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