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意外と簡単?FRP補修のやり方

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意外と簡単?FRP補修のやり方

みなさん、FRPバンパーが割れてしまった…
そんな経験は、ありませんか?
せっかく買った、社外エアロパーツなのに…
ぶつけて、すぐに割れてしまった… と、いう人もいるでしょう。
これからそんな時に役立つFRP補修という方法について書いていきます。

割れてしまった、FRPエアロパーツ

割れてしまった、FRPエアロパーツ

しかしFRP補修について説明する前にそもそもFRPバンパーって何?
という人の為にエアロパーツの素材について紹介しようと思います。
エアロパーツの素材にはいくつか種類がありますが、大まかに紹介します。

◇ ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)
このABSとは、剛性が高く耐衝撃性に優れ、発色性と成形性を持った樹脂です。
この素材でエアロパーツを作る際のメリットは、製品精度が良く、短時間で大量に作ることが可能で誤差が少ないということです。
この特徴から分かる様に、メーカー純正のエアロパーツに多く用いられています。
柔軟性があり、衝撃に強く破損しにくいのも特徴です。
デメリットとしては、製作コストが高く価格も高いという点が挙げられます。

◇ ウレタン
この素材の長所は成形・加工しやすく柔軟性があり、衝撃に強く破損しにくいところです。
短所としてはFRPと比べて重いという点が挙げられます。

◇ カーボン
カーボンとは、炭素繊維のことです。
大きく分けるとドライカーボンと、ウェットカーボンの二つに分けられます。
この二つの違いは使われている樹脂とその成形工法です。
ドライカーボンはエポキシ樹脂、ウェットカーボンはポリエステル樹脂が使われています。
ドライカーボンは強い強度を持ちとても軽量であるのでとても高い性能を持っています。
しかし、製造工程が複雑であり材料費も高いため、ウェットカーボンと比べてもかなり高い価格になっています。
そのためレーシングカーだけでなく、工学や宇宙工学などの分野でも用いられています。
一方、ウェットカーボンはFRP素材と同じような製造工程なので製作コストが安く、ドライカーボンに比べて安価な値段で購入できますが、性能面ではドライカーボンに及びません。
市場に多く出回っているのはこのウェットカーボンです。
高性能なドライカーボンには劣りますが、FRPより耐久性があります。

◇ FRP(ファイバー・レインフォースド・プラスチック)
簡単に言えば繊維強化プラスチックです。
プラスチックにガラスなどの繊維を混ぜることによって、軽さはそのままで強度を加えた素材です。
この素材でエアロパーツを作る際のメリットは、生産コストが安いため価格が安くできるということです。
簡単に補修でき、加工しやすいという特徴もあります。
そのため、“奇抜なデザイン” なども多い、社外エアロパーツに多く用いられます。
この様にFRPという素材には多くのメリットがあるのですが、大きな欠点があります。
丈夫ですが曲がりやねじれに弱く弾力性が低いので、軽い接触でも“割れてしまう”ことがあるのです。
そんな時の補修方法をこれから紹介していこうと思います。

大まかにエアロパーツの素材を紹介してきましたが、これが全てではありません。
強度が必要な部分だけカーボンで補強し、それ以外の部分はFRPで製作されているようなエアロパーツもありますし、ソフトFRPのような独自の素材を開発されているメーカーもあります。
エアロパーツは用途に合わせて素材を選び作成されているのです。
これまでの紹介でエアロパーツの素材に興味を持たれた方は、自分で調べてみるのもいいかもしれません。
各メーカーのエアロパーツ製作に対する情熱や工夫・技術に触れることができると思います。

それでは本題に入っていきたいと思います。
今回、私がFRP補修に使用したのは一般的な道具となります。
用意したのは
(1) FRP用ポリエステル樹脂
(2) ポリエステル樹脂硬化剤
(3) ポリベスト洗浄剤であるアセトン
(4) ガラスマット
の、4つです。

まず、この用意したものに対して説明していきたいと思います。

今回、使用する三つの薬品

今回、使用する三つの薬品

(1) FRP用ポリエステル樹脂
これを使えばFRP補修だけでなく、自分でFRPパーツを作ることもできます。
型さえ作ってしまえば思いのままにエアロパーツを作ることができるのです。
FRP用ポリエステル樹脂の成分は、“不飽和ポリエステル樹脂”といって、プラスチック製品の原料として幅広く使用されています。
例えば、風力発電ブレードやボタンなどです。
不飽和ポリエステル樹脂は、成形作業性や強度、電気絶縁性、耐熱性、耐薬品性などの優れた性能を持っています。
まず、実際に使う際の注意点などをあげていきます。
~ 注意点 ~
1、10℃以下の低温時や雨・雪が降る可能性が高い場合や、湿度が高い時(85%以上)にはFRPの硬化・乾燥が著しく低下し、付着力が弱くなるので作業しない。
2、結露や雨上がりなどで補修面が湿っている時は、剥離や乾燥不良の原因となるので1〜2日間乾燥させてから作業する。
3、夏場など、直射日光の下での使用を避ける。
4、本来の目的以外に使用しない。
5、火気のあるところでは使用しない。
6、取り扱い中、乾燥中とも換気をよくする。
7、取り扱い中、有機ガス用塗装マスクなどを使用し蒸気を吸い込まないようにする。
8、取り扱い中、手袋、保護メガネなどを使用し皮膚に触れないようにする。

~ 乾燥時間 ~
(20℃)約20〜40分
(冬季)約30〜60分

~ 廃棄と保管 ~
1、子供の手の届かないところに保管する。
2、中身が残った時は、フタをしっかり閉めて直射日光や−5℃以下になる所は避けて保存する。
3、容器は中身を使い切ってから処分する。

~ 応急処置 ~
1、皮膚に付着した場合は、多量の石鹸水で洗い落とし、痛みや変化がある時はできるだけ早く医師の診断を受ける。
2、目に入った場合は、多量の水で洗い、できるだけ早く医師の診断を受ける。
3、蒸気・ガス等を吸い込んで気分が悪くなった場合は空気の清浄な場所で安静にする。
4、誤って飲み込んだ場合は、できるだけ早く医師の診断を受ける。

皮膚に付着してはいけない、またマスクを着用しなければいけないことから分かるように。不飽和ポリエステル樹脂は慎重に取り扱わなければいけません。
匂いもとても独特です。
湿度が高くなく直射日光の当たらない風通しの良い場所で行うというのもポイントですね。

(2) 硬化剤
ポリベスト主剤に添加する硬化剤です。
基本的な取り扱いの注意点や保管方法、応急処置は、(1)のポリエステル樹脂と変わりませんが、衝撃によって“破裂の恐れ”があることに注意してください。
硬化剤も慎重に取り扱いましょう。
ポリベスト主剤に添加する量は気温により異なります。

10℃〜15℃の時 100(主剤):10(硬化剤)
15℃〜25℃の時 100(主剤):7(硬化剤)
25℃〜30℃の時 100(主剤):5(硬化剤)

つまり、混合比率は5%〜15%になります。
硬化剤を入れすぎると、“割れの原因”となるので注意しましょう。

(3) アセトン
これは聞いたことがある人も多いのではないかと思います。
実験器具の洗浄などに使われ、車やバイクのオイル汚れなどを落とす効果がある有機溶剤です。
今回は使用後の用具の洗浄や、FRPの汚れの除去に使います。
しかし、アセトンは“危険物”であるので、取り扱いに十分注意しなければなりません。
アセトンの引火点は−20℃であり、“常温でも引火”してしまいます。
また、揮発性も高いので、必ず換気をして火気がないことを確認して作業してください。
安全のためマスクと手袋も必須です。

(4) ガラスマット
ガラス繊維を編んでマット状にしたもの。
FRPの基材として使用し混合液(主剤+硬化剤)を浸透させることによりFRPになります。
素手で触るとチクチクしますが、皮膚に炎症がおこるということはありません。
でも不快なので手袋をつけて作業することをオススメします。

ガラスマット。ガラス繊維が織込まれています

ガラスマット。ガラス繊維が織込まれています

説明が長くなりましたが、いよいよ「FRP補修作業」に入っていきたいと思います。

“FRP用ポリエステル樹脂”と“硬化剤”は、混ぜ合わせるとすぐに固まってしまいます。
従って、最初に“ガラスマット”を、補修する部分に合わせて、適切な大きさに切っておきます。
貼る枚数を多くすればするほど強度が強くなり、分厚くなっていきます。
目安として、ガラスマット一枚を貼り付け混合液を塗ると0.8ミリの厚さになります。
どれだけ補強したいのか、どれだけ分厚くしたいのか考えてガラスマットを切っていきましょう。
どれだけ補強していいか分からないという方はとりあえず二枚分貼ってみてください。
これだけでもある程度の強度になっていると思います。

“アセトン”を使って、ガラスマットを貼る部分を軽く洗浄します。
FRP用ポリエステル樹脂と硬化剤を混ぜ合わせ“混合液”を作ります。
先ほど書いたように気温よって混合比率が違うので注意してください。
また、硬化剤は一度に添加せず少量ずつ添加してゆくのがポイントです。
ガラスマットを敷く前に、混合液を補修したい部分に塗布します。
すぐにガラスマットを敷きローラーで空気を抜きます。
ガラスマットの上からも混合液を塗布します。
そして、ガラスマットが透明になるまで、混合液を塗り込みます。

ローラーを使って混合液を塗布している様子

ローラーを使って混合液を塗布している様子

混合液を塗り込み、透明になったガラスマット

混合液を塗り込み、透明になったガラスマット

使ったローラーをアセトンで、洗浄します。
作業後すぐに洗浄しなければポリエステル樹脂が固まってしまい、ローラーが使い物にならなくなってしまうので注意してください。
完全に乾燥したら、表面にパテを盛り仕上げます。
その後、塗装をすれば“完成”です。

塗装に関しては、コラム「自動車の補修をしてみよう!」に、注意点が載っているので参照してみるといいでしょう。(https://www.hai-sya.com/column/repair1.html)
ここで私が、塗装をした手本をお見せできたらいいのですが、とても上手い出来とは言えないので、自分の反省を活かして注意すべきところを紹介していきます。

まず、パテ盛りに関する注意点です。
パテを張り切って盛りすぎると削る時に大変なので盛りすぎないようにしましょう。
削る時は割れ目が出てきては意味がないので慎重に行ってください。
どれだけ滑らかに削れるかによって見た目が変わってくるので丁寧に行いましょう。
最後の仕上げには、布ヤスリなどを用いて滑らかな表面になるのがベストです。

右側にパテを盛った後が残っているのが分かるでしょうか。削りが甘いことが原因です。

右側にパテを盛った後が残っているのが分かるでしょうか。
削りが甘いことが原因です。

次に塗装に関する注意点です。
一番心がけて欲しいのは“焦らない”ということです。
塗装スプレーやスプレーガンを、塗装したい対象物の近くから吹いたり、同じ場所に吹きかけたりしすぎると、吹付けた塗料が垂れてしまいます。
一定の距離を保って均等に塗っていきましょう。
薄めに、何度が往復して塗っていきましょう。
焦らずに作業をし、徐々に慣れていけばいいと思います。
最初から無理をしないようにしましょう。
自分でやる自信がなく、どうしても綺麗に仕上げたいのであれば、お近くの鈑金塗装屋さんに持って行くのも一つの手です。
参照コラム:専門業者の行う補修作業(https://www.hai-sya.com/column/repair2.html)

基本的な作業の流れは以上です。

オマケに、“パックリ”とバンパーが割れてしまって、ガラスマットをそのまま貼ることができない状況にある時の対処方法を紹介します。

パックリ割れてしまったFRPバンパー

パックリ割れてしまったFRPバンパー

上の画像のような状態のままガラスマットを貼ってしまうと、段差ができたままの状態で固まってしまいます。
こんな時は、銀テープを使い元の形状に戻して固定してやります。

銀テープを使って固定している状態

銀テープを使って固定している状態

裏から見た状態

裏から見た状態

銀テープだけでなく“鉛筆”で補強しています。
鉛筆でなくても長い棒状のものであれば、しっかりと固定することができると思います。

このように固定した後は先ほど紹介した手順で作業を行えばオッケーです。

ガラスマットを貼り終えて乾燥した状態

ガラスマットを貼り終えて乾燥した状態

私は実際に自分でやってみて「FRP補修の作業の単純さ」に驚きました。
今まで、あまりDIYをやったことがない人も、チャレンジしてみてください。

ただ、使用している溶剤などは、安全とは言えないので使用上の注意をしっかり守り、安全に作業を行える準備をしてから作業に取りかかりましょう。
この記事をきっかけにFRP補修でなくとも、何か“自分でやってみよう”とチャレンジされる方がいらっしゃると幸いです。

(執筆:広島大学体育会自動車部)

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